北朝鮮の核・ミサイル問題について衝撃的なニュースが飛び込んできたのは2018年3月8日のこと。
その日の夜、米メディアはホワイトハウス前に集結し、ドナルド・トランプ大統領と会談した韓国の特使団が記者の前で発表を行うのを待ち構えていた。その様子を、筆者も日本時間の朝から米CNNテレビで見ていた。
韓国の特使団の発表は驚きだった。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からの要請をトランプが受け入れ、5月までに首脳会談を実施する意向を明らかにしたからだ。史上初の米朝首脳会談が行われると、韓国特使団の鄭義溶・国家安保室長の口から発表された。
筆者は韓国特使団の動きには当初から違和感があった。というのも、北朝鮮との対話路線を強固に推し進める韓国の文在寅大統領の特使が、北朝鮮から米国へとメッセージを「口頭」で伝えているからだ。当初は、金正恩朝鮮労働党委員長からの手紙が渡されたと報じられたが、それは誤報だったことが判明している。つまりなんとしても対話を実現したい文政権が、多少ニュアンスを変えている可能性も否定できないのではないかと思ったのである。
その上、北朝鮮では国営メディアなどでも会談について報じていない。つまり、北朝鮮側は自分たちの言葉で何も語っていないのだ。下手したら「ニュアンスが違う」「そんなこと言ってない」なんて言い出す可能性すらあると思えてしまう。
取りあえず、大きく報じられている通りに韓国の特使団の発言を全て信じるとすると、この衝撃のニュースはどう理解すべきなのか。筆者は今回の一連の動きを見て、3点指摘したいことがある。これまで、米国側への取材から米軍による北朝鮮攻撃はないと筆者は繰り返してきたが、今回の会談が本当に実現すれば、実のところ、もしかしたら米朝開戦に最も近づくことになる――。そんな懸念すら抱いている。
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