懐かしの「ゲーム電卓」が復活する。カシオ計算機は3月15日、電卓機能とシューティングゲーム機能を備えた「ゲーム電卓 SL-880」を3月23日に発売すると発表した。
ゲーム電卓は1980年代に人気になったアイテムのため、知らない人も多いだろう(記者もその1人)。電卓の液晶画面を利用した、シンプルなゲームができるアイテムだ。90年代以降は多種多様の携帯ゲームが登場し、今やVR(バーチャルリアリティー、仮想現実)の時代。そんな今、なぜこんなにもレトロなアイテムを復活させたのか。同社に聞いた。
この電卓でできるゲームは、数字と記号を使ったシューティングゲーム。液晶画面の右側から攻め込んでくる数字(侵略者)に、同じ数字のビーム砲を撃つ。迎撃した位置によって得点が加算されていく。ゲームの内容は、1980年に発売した初期のモデルと同じだ。
当時、人気を集めたゲーム電卓は、シューティングゲームだけでなく、ボクシングや野球、囲碁などのゲーム機能を備えた電卓へと、商品群が広がっていった。最盛期の80年代前半、カシオのゲーム電卓全体で月30万台以上を生産していたという。
今回、このゲーム電卓を復活させた理由は、「電卓の幅を広げて、“使う楽しさ”を感じてもらいたい」(広報担当者)から。同社は近年、市場価格3万円程度の高級電卓で「持つ喜び」を、カラフルな電卓で「持つ楽しさ」を訴求してきた。ゲーム電卓の復活で、その幅をさらに広げたい考えだ。
また、レトロな商品や文化があらためて注目されているというトレンドの追い風もある。任天堂の家庭用ゲーム機の復刻版や、バブル時代の文化を再現した動画などが人気を集めている。カシオが17年3月から開催した、歴代の電卓や電子辞書を展示する特別展も、会期を延長するほど好評だった。
今回復活するゲーム電卓は、ゲーム内容は昔と同じだが、電卓機能が進化している。今では一般的になった太陽電池や消費税計算機能を搭載。表示できる桁数は8桁から10桁に増え、数字は大きく見やすくなった。オープン価格だが、2000円前後(税別)の市場価格を想定している。
広報担当者は「80年代に学生や社会人を経験し、ゲーム電卓になじみがある方はもちろんですが、電卓にゲームが入っていることにギャップを感じる世代の方にも楽しんでもらいたい」と話している。
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