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» 2018年03月26日 11時00分 公開

あの職場が“楽しい”理由:無口な社員も熱く語る “全員参加”社内イベントのつくり方 (2/4)

[加納由希絵,ITmedia]

 「たった3人で創業したころ。深夜に印刷機を動かしている横で、川の字になって寝ていた。朝になると、そこから営業に出掛ける――。そんな毎日だったそうです。今は100人弱の社員がいますが、ほとんどの人はこの話を知りませんでした。そこから、イベントのコンテンツが見えてきました」(増田さん)

 メインコンテンツとして設定したのは、歴史を振り返る映像を流しながら、実際に経験した当事者に語ってもらう、トークセッションだ。社内にはさまざまな仕事があるが、どの役割の人もひたむきにお客さまに向き合ってきた。職人気質なところがみんなにある。それが今の仕事につながっている。イベントの日は、お客さまではなく自分たちに向き合い、お互いに感謝を伝え合いたい――。そんな思いや「らしさ」をくみ取って企画したコンテンツだ。

 イベント当日は、会社の歴史におけるターニングポイントを映像で紹介した後、それについて当事者が語った。営業や制作の担当者のほか、工場や配達の現場で働いてきた職人気質の社員も登場した。話すのが得意でない人も多く、リハーサルでは「乗り気ではなかった」(増田さん)様子もみられた。しかし、本番になると、増田さんも驚くほどの熱い光景が繰り広げられる。

 「普段は無口な配達のおっちゃんが『社員が作ったものを最後まで届けるのが自分の役割だ』と熱く語ってくれたのです。それでスイッチが入り、感謝を伝えたい人をお互いに指名し合うなど、勝手に盛り上がっていきました。まさに“動き出した瞬間”でしたね」(増田さん)

photo トークセッションの様子。会社の歴史を振り返り、熱いトークが繰り広げられた(画像は一部加工)

カウントダウンメールで気持ちを高める

 イベントが盛り上がったのは、本番のコンテンツだけが理由ではない。イベント前から、徐々に盛り上げていく仕掛けをちりばめていた。

 その1つが「カウントダウンメール」。イベントの周知を兼ねて、社員の一人一人を紹介するメールを本番の2週間ほど前から毎日配信した。内容は、事前に実施したアンケートの回答。仕事にかける思いやプライベートの一面などだ。入社した順番で1日数人ずつ紹介していくと、お互いの知らなかった一面を知るきっかけになった。

 「『そろそろ自分の番』と、毎日メールが配信される正午を楽しみにしてくれる人がたくさんいました。本番に向けて、徐々に熱を高めていけたと思います」(増田さん)

 そして、右も左も分からない状態でプロジェクトを任された担当者2人にも、「変わる瞬間」があった。それは、社長や創業時を知る取引先へのインタビューに同行したことがきっかけだ。

 「昔の話を聞いていると、会社のDNAに触れて鳥肌が立つ瞬間があるのです。今、仕事で大事にしていることが、昔のエピソードから浮かび上がってくる。『大切なことは昔から変わっていない』と感じるときです。その内容をまとめて言葉にしていく中で、担当者の熱量が大きく変わっていきました」(増田さん)

 会社の中で当たり前のようにやっている仕事は、たくさんの人の努力や行動の積み重ねを経て確立されたものだ。周年イベントを通じて、会社の歴史を知り、会社を動かし続けてきた「人」を知る。そんなきっかけになる取り組みになった。

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