心と体の不調に早めに対応して――。大阪市の化粧品会社、ナリス化粧品が4月から、新しい休暇制度として「肌休暇」を導入する。肌の不調を理由に有給休暇を取得できるという。化粧品の会社ならではのユニークな制度だ。
なぜ「肌の不調」を休暇取得理由とするのだろうか。制度の狙いや内容について、広報担当者に聞いた。
ナリス化粧品は1932年創業の老舗。化粧品の研究開発や製造、訪問販売、店頭販売などの事業を展開している。
肌休暇を導入した背景にあるのは、「肌トラブルが心と体の不調のシグナルになる」という考え方だ。仕事で疲れがたまっていると、肌の不調として表れ、それがさらなるストレスになり、業務効率が下がる。それを防ぐため、「シグナルの段階で休息を取って、リフレッシュしてもらいたい」(担当者)という狙いがある。
そのため、肌休暇の取得は、性別・年齢を問わず全従業員が対象になる。実際に肌が荒れてしまう前であっても、自己判断で申請が可能。個人が取得している有給休暇の範囲内で何日でも取得できる。
もちろん、有給休暇の取得自体に理由は不要。しかし、状況によっては「取りづらい」と感じることも多い。「すでに導入している『リフレッシュ休暇』や『メモリアル(記念日)休暇』のように、制度として名前を付けることで、有給休暇を取りやすくしたいと考えています」と担当者は説明する。
また、肌休暇を申請することで、職場内のコミュニケーションにもつながると考えている。「『最近残業が増えている』『疲れている』などと上司にはなかなか言いづらいですが、肌休暇を申請することで、それを伝えることができます」(担当者)
4月の導入に向けて、若手女性社員を中心に「使いたい」という声が上がっているという。
ナリス化粧品は、長時間勤務や不規則な勤務時間によって起きる肌荒れや肌トラブルを「残業肌」と呼び、それに関する調査も実施している。
1日平均1時間以上の残業をしている女性1690人に対するアンケート結果によると、全体の75%が「残業が多いと肌の調子が悪くなる」と回答。さらに、53%が「自分の肌は残業肌と思う」と答えている。また、残業肌による仕事への影響については、「モチベーションが下がりそう」と答えた人が50%を超えた。
「肌休暇は女性が多い化粧品会社ならではの制度と言えますが、性別や業種を問わず、肌は健康のバロメーターです。他の会社にも参考にしてもらえるのでは」と担当者は話している。
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