いま、皆さんはどんな服を着ているだろうか。会社にいるならスーツ、布団の中ならパジャマだろうか。夜に予定があればオシャレをし、暇な休日ならジャージーかもしれない。用途と目的によって、服装の色や形はさまざまに変わるだろう。路線図も同じである。
路線図には、路線や駅のつながりを案内するという役割がある。しかし、さらに用途によってさまざまに姿形を変えたものもあるのだ。例えば「外国人観光客向け」に描かれた路線図は、普段私たちが触れている路線図とまた違った景色を見せてくれる。
2017年に日本を訪れた外国人旅行者の数は約2869万人。5年連続で過去最高を更新しており、政府は20年に4000万人にまで増やす目標を掲げている。となれば、交通インフラの多言語対応は必至だ。
路線図にも“多言語対応の波”がやってきた。駅名の横に英語表記を付けるケースが多いが、最近では英語以外の路線図を用意する鉄道会社も増えてきた。アジア圏からの観光客に対応するには、中国語や韓国語の路線図も必要になる。
また、東京メトロでは、路線図から切符を購入できる券売機の設置を順次進めている。モニター上で言語を切り替えられ、英語のみならずスペイン語やタイ語までも対応可。多言語への対応が柔軟にできるのが強みだ。
さて、ここに挙げた路線図は言わば「オフィシャル」のものだが、路線図には「観光用」に作られたものもある。例えば、JR東日本制作の「Railway and Subway Route Map」は首都圏のJR・私鉄・地下鉄を1枚に収めたもの。とはいえ、全ての路線を掲載しては煩雑になるため、適度に省略が行われているのが見どころだ。
成田空港や羽田空港からのアクセスを描いているが、途中駅はバッサリとカット。池袋から先の有楽町線や、西葛西から東の東西線も消えている。ゆりかもめの停車駅は半分程度に減り、京浜急行本線は品川から京急蒲田まで。JR東日本制作ゆえ多少の“JRびいき”があるのだが、「外国人観光客にとってどこが必要な駅か」を判断した形跡が残る。
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