ところが、80年代に登場したころの気筒休止システムには種々問題もあった。気筒休止するときや復帰するとき、ショックが発生してフィールが悪い。さらに気筒を休止した際には、エンジン排気量が半減するため(それが目的なのだが)スロットルバルブとアクセルの踏み込み量をそのままにしておくと大幅にレスポンスが変わってしまう。休止時にはアクセル開度に対するスロットルバルブの開度をより大きくしないとドライバーは排気量が倍も違う2種類のエンジンを意識して使い分けて運転しなくてはならなくなる。
だから電制スロットルを使ってスロットルバルブとアクセルの踏み込み量の関係に補正をかけ、切り替え前後のフィール差を減らさなくてはならないのだが、当時はこれがあまりうまくできなかった。
さらに4気筒分の吸気管(ポート)の上流1点で噴射するインジェクションしかなかったので、気筒を切り替えた際に休止中の吸気管への燃料供給が完全には止められなかった。休止気筒の吸気管の壁に付着した燃料は再び始動するときの空燃比を狂わせてしまう。休止時間を増やして燃費を稼ぎたければ、頻繁に切り替えを行なわなくてはならないが、そのたびにこういうさまざまな過渡期を乗り越えなくてはならない。熱損失の原因となる冷却水の温度マネジメントもまだまだ知見が足りなかった。
結局のところ、こうした諸問題によって起きるフィールの悪化を押してまで気筒休止を採用したくなるほどには燃費が改善できなかった。
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