ニューヨーク・イーストサイドの高級住宅地に古くから立つ高級ビルの多くは、より高層で高価な新築ビルが急増したことを受けて、不動産価値が下落している。
それでも1983年に完成したトランプタワー物件の下げ幅は市場平均より大きいと、不動産ブローカーや市場アナリストは指摘する。
「トランプ氏の立候補と大統領就任は、明らかに(トランプタワーの)不動産価値にマイナスに影響している」と、不動産仲介業ブラウン・ハリス・スティーブンスのウェンディ・マイトランド氏は言う。
同社は昨年、トランプタワーでファッション業界の顧客が所有していた、3ベッドルームの部屋を750万ドルで売りに出したが、買い手がつかなかった。
とはいえ、トランプ大統領の自宅と同じビルに住宅を欲しがる外国のバイヤーは多いと、不動産業者は語る。同タワーの不動産を管理するトランプ・オーガニゼーションも、トランプタワーが依然として世界で最も有名な不動産の1つだと主張する。
「(トランプタワーには)一流の住人がおり、世界の象徴的な存在であり続けている」と、同社広報担当のアマンダ・ミラー氏はメールで回答した。
それでも、ニューヨークの不動産サイトCityRealty.comによると、同レベルのミッドタウン・イースト・サイドの物件の下落率が8%にとどまる中、トランプタワーの1平方フィートあたりの価格は30%下落している。
同じくニューヨーク中心部にあり、トランプタワーに似ているとされる1975年築のオリンピックタワーは、不動産価格が2015年以降で21%下落。同期間に、新築ビルも含めた付近の不動産価格が29%上昇したのとは対照的だ。
トランプタワーでは、「現在22部屋が売りに出ており、そのこと自体が状況を物語っている」と、前出のマイトランド氏は話す。2015年の売り出し物件数は、その半数程度だったという。
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