JRの“大回り乗車”で房総半島1周 海を眺めて名物駅弁を食べる杉山淳一の「週刊鉄道経済」GW特別編(7/7 ページ)

» 2018年05月02日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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東京駅で「駅弁イートイン」できる!

 東京駅に到着。京浜東北線に乗り換えれば大井町に行ける。しかし、まだ夕飯の駅弁を食べていない。東京駅には全国の駅弁が集まる「駅弁屋 祭」のほか、横浜の崎陽軒など駅弁販売店がいくつもある。ここで夕飯の駅弁を買おう。「寝台特急北斗星テールマーク弁当」(税込2160円)は本ズワイガニを使ったかにめしとザンギがメイン。「のりのりパンダちゃん」(同950円)は、郡山駅の名物「海苔のり弁当」の期間限定バージョンで、表面ののりがパンダちゃんカットとなっている。大きな卵焼きがとても美味。「新宿弁当」(同1200円)は、安養寺みそを使用した鮭のみそ焼、ソースカツ、内藤とうがらしを使った椎茸煮、牛炭火焼肉、野沢菜炒めなど、新宿から甲府までのうまいものを集めている。

photo 東京駅で買い込んだ駅弁たち
photo 撮影後は持ち帰り、家族でおいしくいただきました

 駅弁屋さんは最近の糖質制限ダイエットブームを反映して、あるいは酒のつまみ用か、ご飯がない「おかずだけ」の商品がある。「国技館焼き鳥」や「チキン弁当のからあげ」「丸政のチキンカツ」「三崎マグロの串揚げ」などだ。そのなかで特筆すべき逸品が「大正浪漫 東京しゅうまい」(同680円)だ。豚肉、タマネギ、しいたけで作っていて、私の苦手な魚介系の香り付けがなく、肉の味を楽しめる。

 ところで、前回の終わりに、「ロングシートの列車ばかりで駅弁を食べづらい。駅弁のイートインスペースがほしい」と書いた。実は東京駅には駅弁を食べる場所がある。駅ナカ地下1階のショッピングモール「グランスタ」の外れにある休憩所だ。トイレ、コインロッカー、ATMなどがある、なんとなく工事中のような一角に、テーブルを備えた場所がある。地下で窓もなく、トイレの看板が大きいという難点はあるけれど、待ち合わせ場所として有名な銀の鈴より空いている。普段のランチにも使えそうだ。

 京浜東北線で大井町駅へ。IC乗車券を使って大回り乗車をするとどうなるか。改札機の扉が閉まったら後ろの人に迷惑だな。人通りが途切れた頃を見計らって改札機にタッチ。ピッ……。あれ、何事もなく出られた。なんだか拍子抜けだ。房総半島を1周して11時間の列車旅。運賃は154円だった。

photo IC乗車券であっけなく改札を通過した
photo 今回乗車したルート(路線図はJR東日本「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」より)

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


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