最近、インターネット犯罪の報道でよく話題に上る「ダークウェブ」。一般的なネット環境からはアクセスできず、専用の閲覧ツールを使って見られるWebサイトだ。
利用者の情報が追跡されにくいことから、違法薬物の売買といった犯罪の温床になりやすい。しかも、ウイルス感染などの恐れから普通の人はまず触れられない。恐ろしくも謎でSFチックな世界だが、多くの企業にとってはサイバーテロの引き金にもなる、実は「リアル」な脅威。そんな無視できない「ネットの闇」に対し、企業に代わって“ダイブ”する会社が相次いでいる。
ダークウェブの調査サービスを5月1日に開始したのは、ネット上の情報分析や炎上予防のための対策などを手掛けるワイズワークスプロジェクト(東京都中央区)。サイバー攻撃を既に受けたり、予防に取り組む企業からの依頼でサイト内を調査する。
同社の担当者は「ダークウェブに接続すること自体は一般の人にもできるが、リスクが伴う」と説明する。ウィルス感染やハッキングされる可能性が高いからで、同社ではネットワークを分断するなどした専用の環境からダークウェブに潜る。
同社によると、特にニーズが高そうなのが顧客情報や企業機密などの情報漏えいだ。ダークウェブ内にはオークションサイトのような場所があり、そこで漏えいした情報が売買されている。まだ被害のない企業も、攻撃用のツールが売られていないか監視して予防することができるという。
変わったところでは、企業の幹部や著名人の風評被害の調査も想定している。「〇〇さんに危害を加えるぞ」といったネット上の予告の書き込みは昔から後を絶たないが、ダークウェブ上では一般人が気付けないからだ。ほかにも、薬や医療機器といったメーカーが、ダークウェブの正規でないルートで自社の商品が出回るのを懸念して、調査できないか相談に来たこともあったという。
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