「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由水曜インタビュー劇場(交流公演)(2/5 ページ)

» 2018年05月09日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

チェックイン時にiPodを渡される

土肥: ザ・ミレニアルズを運営しているグローバルエージェンツは、これまで宿泊施設を4棟展開していて、ミレニアルズブランドは2号店目ですよね。2017年7月、京都(152室)にオープンしたところ、半年弱で1万人以上が宿泊したとか。

 ザ・ミレニアルズは「簡易宿泊所」に分類されていて、いわゆるカプセルホテルと同じ位置付けになる。渋谷に宿泊フロアは6フロアあって、そのうち4フロアを「オールジェンダー」と名付けて、男女問わず利用できるようにしているんですよね。一般的なカプセルホテルは男女別フロアにしているのに、なぜこのような仕様にしたのか? その話を聞く前に、気になったことがひとつ。

 フロントを観察していると、チェックイン時にお客に何かを渡していますよね。通常のホテルではカギを渡すと思うのですが、ザ・ミレニアルズでは違う。よーく見ると、iPodを手渡していましたが、受け取ったお客は何に使うのでしょうか?

チェックイン時にiPodを手渡される。どのように使うのか

吉田: 多くのカプセルホテルでは、2段ベッドがたくさん並んでいますよね。お客さんはそこの1室に泊まるわけですが、ザ・ミレニアルズでは違う。天井高2.3メートル、床面積3平方メートルのなかに、セミダブルサイズのリクライニングベッドがあって、さらに大型のキャビネットや80インチのスクリーンなどが搭載されています。この空間は、当社が独自に開発したもので「スマートポッド」と呼んでいます。

土肥: ふむ。通常のカプセルホテルはシングルサイズで、天井は低い。そうした環境に慣れている人にとっては、「広いなあ」と感じるでしょうね。スマートポッドのなかに実際に入ってみると、部屋のなかで立つことができますし、寝返りも打つことができる。チェックイン時に渡されるiPodは何に使うのでしょうか?

吉田: スマートポッドは完全な個室ではないので、モーニングコールやアラームなど音の出るモノは使えないようにしているんです。あらかじめ起床時間をセットしていれば、その時間になると自動的にベッドの背もたれを起こすことができるほか、照明を自動的に明るくすることもできるんですよね。起床をうながす仕組みは、iPodで操作できます。

土肥: カプセルホテルに泊まっていると、他人の目覚まし音で起きることがありますよね。自分は7時にセットしていたのに、隣の人が6時にセットしていていたので、その音で目覚める。結果、寝不足になってしまう。そんな不満をなるべくなくす、というわけですね。

部屋そのものをキャンバスに見立て、アートが描かれている

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