なぜパタゴニアはトランプ大統領に「宣戦布告」したのか世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2018年05月17日 07時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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若者を引き付けるアクティビズム

 パタゴニアやイヴァンカの件で見られたような企業や消費者によるアクティビズムへの興味は、米国の若い世代に顕著だという。米国の13〜25歳(Z世代)を対象にした米コンサル会社「DoSomething Strategic」の調査によれば、製品を購買する際に、彼らが信じている価値観を持ったブランドに親しみを覚えるという。またZ世代で回答した人の76%が、何かの問題について自分たちの立場を明確にしているブランドを支持するために製品を買ったことがあるという。消費者として製品をボイコットしたことがあると答えた人は40%だった。

 この調査からは、米国ではビジネスにアクティビズムが重要になりつつあるということが分かる。そして言うまでもなく、Z世代は今後の消費を支えていく存在だ。

 日本も今後、世代が変わっていくにつれ、そうした消費者の動きが起きる可能性はある。米国を見る限り、この先、若い世代を取り込むキーワードは「アクティビズム(またはアクティビスト)」なのかもしれない。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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