本当に、ATMで硬貨を取り扱う必要があるのか再考の余地(1/3 ページ)

» 2018年05月21日 08時01分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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 厳しい経営環境を迎えている金融機関のコスト削減の対象の1つがATM。本当に今のような高機能、特に硬貨の取り扱いが必要なのだろうか。メガバンクによる共通化を機に、再考の余地はありそうだ。

 日銀のゼロ金利政策が長期間にわたり続いてきたことで、その最大の副作用として国内銀行の貸し出し業務での収益悪化が指摘されて久しい。金利のさやが縮小している状況下で、各行が限られた優良貸出先への低金利競争に走るためである。メガバンクの新卒採用の大幅縮小、地方銀行の業績悪化(福島銀行では7期ぶりの赤字決算が出た)など、同じ文脈である。

 そんな中、この5月には3メガバンクが現金自動預払機(ATM)の開発や管理を共通化する検討に入ったと報じられた。ATMの機器費用やメンテナンス費用を軽減化させることが目的である。もともと日本のATMの機器コストは海外に比べ割高とされてきた。

 機能的には、現金の預け入れ、各種の現金引き出し、残高照会、通帳記入・繰越が基本で、金融機関によってそれ以外にもさまざまな機能が付加されている。そのため紙幣、通帳、磁気カード以外にも硬貨や帳票類などを扱うタイプが主流のようである。

 しかしこうした高機能、とりわけ硬貨の取り扱いについては本当に必要なのか、今回のメガバンク3行での共通化をよい機会として考え直すべきであろう。

 元々運搬が困難なことや紙幣に比べて故障が発生しやすいためもあって、一部のATMでは硬貨を取り扱っていない(無人店舗やコンビニATMなど)。そもそも硬貨を識別・保管するためのメカニカルな構造を持てば、機器代は割高にならざるを得ない。

 であれば、いっそのこと共通仕様のATMでは硬貨取り扱い機能をなくしてしまい、その分だけ機器代を大幅に安くしてしまうことはできないだろうか。厳しい環境にある金融機関にはこうした割り切りの発想があってもよいのではないか。

ATMで硬貨取り扱い機能をなくせば、機器代を安くできるのでは!?
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