先日、渋谷の「一蘭」でラーメンをすすっていたとき、食事を終えた外国人観光客の一団が非常に興味深い行動をとっているのを目撃した。
なんと、店員さんに対して、例の「オーダー用紙」を持って帰りたいと申し出ていたのである。
ご存じの方も多いと思うが、一蘭のオーダー用紙とは、麺の硬さ、秘伝のタレの量などを自分の好みでマルを囲む、アンケートのような注文用紙。1993年に1号店ができてほどなくして編み出され、現在は英語、中国語、韓国語バージョンも用意されているため、日本語がまったくできない外国人観光客であっても、自分の好みどおりのラーメンを注文できる。
要するに、今やどのラーメン屋で当たり前にみられる「お好みは?」「えーと、じゃあ、麺はバリカタで、油少なめで」というやりとりが省略できるのだ。ラーメンを食べるスペースも個々で仕切られている味集中カウンターと並んで、一蘭の代名詞ともいうべきシステムである。
そんなオーダー用紙を、訪れた外国人観光客が持って帰っているのだ。
「自動販売機やマンホールのフタの写真を撮るように異文化がもの珍しいんでしょ」なんてシラけた反応が多そうだが、筆者の受け取り方はちょっと違う。
この現象は、外国人観光客が「日本」に何を期待し、何が物足りないと感じているのか探るうえで非常に大きなヒントとなるのではないか――。なぜそう考えるのかというと、一蘭は今や日本を代表する観光スポットとなっているからだ。
例えば、株式会社RJCリサーチと株式会社ナイトレイが共同で行った調査によると、2016年に訪日外国人観光客が日本滞在中にSNSで発信した約92万件の投稿を解析したところ、グルメスポットでは「築地市場」「かに道楽」に次いで「一蘭」は3位。「横浜中華街」(4位)や外国人観光客が殺到していると話題になっている大阪の「黒門市場」(5位)という観光エリアに肩を並べるほどの人気店となっていることがうかがえる。
実際、福岡・中洲にある一蘭本店は、外国人観光客が必ず立ち寄る観光名所となっているほか、福岡県西部の糸島半島に生産工場「一蘭の森」も外国人ツアー客のバスがひっきりなしに訪れている。
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