土肥: クリスピー・ドーナツは1937年に米国で産声をあげて、いまではカナダ、オーストラリア、中国など27カ国で1100店舗ほど展開しているそうですね。日本には2006年に上陸して、新宿に1号店を構えました。メディアが大きく取り上げたこともあって、お客は殺到。連日、行列ができていて、当時のワタシも「日本のドーナツ屋さんとは違うなあ」と感心していました。
何に感心していたのかというと、列に並んでいる客に“できたてのドーナツ”を配っていたこと。できたてのドーナツを食べる機会はなかなかないので、長時間待っていても、あつあつのドーナツを食べることで客は満足していたのではないでしょうか。
もうひとつはパッケージ。日本のドーナツ屋さんはドーナツをタテに並べますが、クリスピー・ドーナツは違う。平置きにして並べるので、どうしても箱が大きくなる。街中を歩いていても、大きい箱が目立つので、「あの人、クリスピーのドーナツを買っている。いいなあ」と感じた人も多かったのではないでしょうか。パッケージを広告にするなんて「やっぱり米国のブランドは違う」と思ったのですが、熱狂は長く続きませんでした。数年後には行列を目にすることはほとんどありませんでしたし、店舗も大幅に削減しました。
「もうクリスピーはダメだ。日本から撤退するんじゃないの?」といった厳しい声があったなかで、既存店の売り上げは9カ月連続で伸ばしているとか。4期ぶりに増益を確保して、店舗も再び増やす。どん底から復活した話をお聞きする前に、なぜ業績が低迷したのか。そのへんの話を聞かせてください。
大内: 外的要因と内的要因があったのではないでしょうか。外的要因としては、やはりコンビニがドーナツ事業に参入したことが大きい。ただ、コンビニの場合、淹れたてコーヒーを購入するお客さんに「もう一品」という狙いで、ドーナツを展開していましたよね。当社の場合は、お土産やテイクアウトで購入するお客さんが多いので、ものすごく影響を受けたわけではありません。むしろ、内的要因によって業績が低迷したと分析しました。
土肥: 内的要因? 何があったのでしょうか?
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