国内随一の“ユニコーン企業”(評価額が10億円を超える非上場ベンチャー)と称されてきたフリマアプリ運営のメルカリ。その“真の評価”が明らかになる時がついにやってきた。
メルカリは6月19日、東証マザーズに新規上場。取引開始直後から買い注文から殺到し、値が付かない状況が2時間あまり続いた。午前11時過ぎに付いた初値は、公開価格(3000円)を大きく上回る5000円だった。
午後は一時、値幅制限の上限(ストップ高)となる6000円まで上げる場面もあった。終値は5300円で、終値ベースでの時価総額は7172億5600万円に到達。2018年で最大規模のIPO(新規株式公開)となった。
13年にメルカリを創業した、代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)の山田進太郎氏は、同日開いた会見で「創業後は社会の公器となることを目指し、常に上場のタイミングをうかがっていた。今回はその一歩を踏み出せた」と思いの丈を語った。その上で、「株価は高い評価をいただいたと感じている。気を引き締めて業務に当たっていきたい」と抱負を述べた。
報道陣からは、投資家の期待がプレッシャーとなり、スピード感あふれる経営が失われるのでは――との声も挙がったが、山田氏は「今後もいいプロダクトを作り、ユーザーに満足してもらいたい。妥協せずやっていく」と答えた。
上場によって調達した約1300億円の資金は、「人材、テクノロジー、海外の3分野に投資していく」(山田氏)という。
人材については、社内研究機関「mercari R4D」などを中心に採用を強化し、R&D(研究・開発)を推進する。テクノロジーについては、人工知能(AI)やブロックチェーンなどに投資する。商品画像を分析して悪質な出品をいち早く特定し、サービスの品質を保つ仕組みをさらに洗練させるという。
海外展開には特に注力する。「ゆくゆくは新興国・途上国を含む全世界で、フリマアプリで取引できるようにする。メルカリを立ち上げる前、大学卒業後に設立したゲーム会社(ウノウ)を米Zyngaに売却した経緯があるが、その後に世界一周旅行に出かけ、さまざまな国の文化に触れる中で『新興国の社会を変えたい』という夢を持った」と山田氏は明かす。
「AIを駆使した画像分析などの当社のテクノロジーは、他社にはまねできないものだ。今後はテクノロジーを武器とし、米Googleや米Facebookのような“テック企業”として世界を目指す」(山田氏)
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