5G商用化は20年春、料金はLTEと同程度=ドコモ社長インタビュー

» 2018年07月12日 14時42分 公開
[ロイター]
photo 7月11日、NTTドコモの吉澤和弘社長は、ロイターのインタビューに応じ、2020年の商用化を目指している第5世代(5G)携帯電話サービスについて、同年春のサービス開始を予定していることを明らかにした。写真は2016年7月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 11日 ロイター] - NTTドコモ<9437.T>の吉澤和弘社長は11日、ロイターのインタビューに応じ、2020年の商用化を目指している第5世代(5G)携帯電話サービスについて、同年春のサービス開始を予定していることを明らかにした。料金は現行の高速通信「LTE」サービスと同程度に据え置く方針。来年度からネットワークの構築に入る。

吉澤社長は「開発やネットワーク構築などが順調に進めば、2020年の春くらいには5Gのローンチ(開始)は十分できる」と語った。

投資額については「本格的に5Gになっても、年間の投資額は今の投資額を上回らない程度でいきたい」と述べ、既存のLTE設備を活用することでコストを抑える方針をあらためて示した。

具体的な投資額は今秋に公表する中期計画に盛り込む。NTT<9432.T>が策定中の中期計画と同様に、3年、5年、7年の目標を掲げる予定で、「5G投資も5年後や7年後の累計など、これくらいになるというのを出すことを検討したい」と語った。

総務省は今年度末までに5G向けの周波数の割り当てを目指している。吉澤社長は「周波数が割り当てられた後に、料金をもらわない試行的なサービスの提供も検討したい」と述べ、商用化前にトライアルサービスを実施する意向を示した。「来年、ラグビーのワールドカップがあるので、特定の会場で試行的なサービスを検討している」という。

5Gの料金プランについては「今と使い方があまり変わらないのであれば、ほとんど同じか、少し上がるくらいで考えたい」と話した。

総務省は格安スマートフォンサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の参入を後押しすることで競争を促進させようとしているが、MVNOの事業環境は厳しく、足元では勢いに陰りが見える。こうした中、国内4社目の携帯電話会社として楽天<4755.T>が新規参入することが決まった。

吉澤社長は今後の競争環境について「スマホの料金だけが安い、高いという競争ではなく、サービスを含めた競争になる」との見方を示した。楽天とのローミングについては「要望があればビジネスベースで協議に応じたい」と繰り返した。

NTTグループをめぐっては、現在、NTT東西地域会社はユニバーサルサービス制度により固定電話を全国一律で提供する義務を課せられているが、ドコモなど携帯電話会社にはそうした義務はない。

業界の一部には携帯電話会社もユニバーサルサービスの義務を負うべきとの意見があるが、新たな負担が生じるため、携帯電話会社は制度の見直しには後ろ向きだ。

吉澤社長は「無線も、となったときにどこまで品質や信頼性、機能などを担保するのか」と疑問を呈し、「もしもし、はいはいだけでいいのであれば衛星電話もある」と述べ、見直しは慎重な検討が必要との認識を示した。

NTTの澤田純社長は2日、ロイターのインタビューで、赤字が続いている固定電話について「地方部や山間部などは可能なら無線に変えたい」と述べ、社内で検討を始める意向を示した。

(志田義寧 サム・ナッセイ)

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