箱根に100億円投資、小田急が挑む「国際観光地競争」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)

» 2018年08月03日 07時30分 公開
[杉山淳一ITmedia]

昭和の雰囲気残る「モハ1形」も引退へ

 車両や駅舎はどう変わるか。箱根登山鉄道は14年に登場した新型車両「アレグラ号」を増備する。強力で安定した登坂力と、上空から足元までを見渡せる大きな窓ガラスが特徴で、スイッチバック区間の面白さを満喫できる。19年5月に両運転台車の3000形を2両、20年に3100形2両固定編成を1本。合計4両の新造だ。

photo 新造される「アレグラ号」

 さらに、1989年製で「サン・モリッツ号」として親しまれている2000形は車体を更新する。車体の更新は、新造とは異なり、台車など駆動装置は残したまま、車体のみを新造して載せ替える。今回の更新は、空調設備を室内から屋根上に変更するなどして車内空間を広くするという。

photo 「サン・モリッツ号」の姿はどう変わるか

 なお、記者発表会では「2020年までに1950年製の100形は引退」という発言があった。箱根登山鉄道の公式サイトでは「モハ1形」と紹介されている103号+107号編成、104号+106号編成を指すと思われる。昭和の雰囲気が残り、あじさいによく似合う電車だったけれども、製造から70年とあってはやむなし。1927年製のモハ2形の活躍機会も減っていくだろう。

引退が告知されたモハ1形

 駅舎については、2018年8月までに箱根板橋駅と入生田駅を改築し、耐震強化と多目的トイレを設置。19年度までに大平台駅と小涌谷駅の改築に着手する。さらに、塔ノ沢駅、宮ノ下駅、彫刻の森駅については20年度までにトイレの改修を実施予定だ。

 箱根登山ケーブルカーは2021年に開業100周年を迎える。この機会にケーブルカー車両を社内外ともリニューアルするという。現在の車両は1995年に製造されたスイス製で、この大型車両を導入するために、軌間を広げるなど大改装を実施した。リニューアル完了は2020年4月の予定だ。今回はケーブル巻上機も新造更新するため、長めの運休軌間が生じるかもしれない。

photo 箱根登山ケーブルカーも車体が変わる

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