なぜ、鶏肉はここまで注目されているのだろうか。
鶏肉の一番の魅力は安さだ。業務用食材を扱うMマートのWebサイトを見ると、飲食店でよく使われる豚バラスライスの価格は、外国産で1キロ当たり800円前後、国産で1300円前後となっている。同様に、牛丼などによく使われる米国産の牛肉バラスライスは1キロ当たり1000円程度だ。
一方、鶏肉の場合、ブラジル産の鶏モモ肉は1キロ当たり300〜400円となっており、牛や豚に比べて圧倒的に安い。
鶏肉はなぜ安いのだろうか。食肉の流通に詳しい関係者によると、生産コストの違いが影響しているという。一般的に牛が出荷されるまでに必要な飼育期間は30カ月で、豚は10カ月といわれている。一方、鶏は生まれてから50日で出荷できるため、飼料や人件費が豚や牛ほどかからないのだ。
外食チェーンにおいて、鶏肉を使ったポピュラーな料理は焼き鳥とから揚げだが、ビジネス的な観点で分析すると、どのようなメリットがあるのだろうか。
まずは、焼き鳥の原価を分析してみよう。業務用食材を扱うMマートで国産モモ肉の価格を調べたところ、1キロ当たり700円となっていた。外食チェーンの内情に詳しい関係者によると、業務用に仕入れた鶏肉はほぼロスがなく使えるのが特徴で、皮をひいたとしても、食材として使える部分は90%残るという。実質的なモモ肉1キロ当たりの価格は777円となるので、1グラム当たりの単価は0.77円となる。一般的な焼き鳥1串に使われる鶏肉は30〜40グラムなので、1串当たりの原価は30円弱となる。
国産のモモ肉を使わなくても、1キロ400円のブラジル産を使えば、1串当たりの原価は20円未満円となる。海外の工場で加工された商品を仕入れれば、串うちという面倒な手間は発生しないというメリットもある。
つまり、原価が安いので焼き鳥は1串100円で販売しても十分もうかるのだ。さらに「焼き鳥1串100円」と打ち出せば、お得感が出るので消費者をお店に引き寄せる効果も見込める。
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