なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2018年08月21日 06時00分 公開

長浜淳之介のトレンドアンテナ:日本上陸から45年で1161店舗 サーティワンのローカライズ戦略が成功したワケ (4/4)

[長浜淳之介,ITmedia]
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研修生が同窓会を開催

 サーティワンの業績を支えているのは、FC店の接客レベルを高度に保つ研修制度だ。東京都品川区の本社には、店長候補者を育てるトレーニングカレッジがあり、2週間の研修を行っている。年間120人が受講しており、卒業生は5000人にものぼる。カレッジではサーティワンの企業理念、商品、品質管理、接客、アルバイト指導のノウハウなどが伝授される。中には、お店で働いた経験がゼロの受講生もいるが、店舗実習を重ねてプロに育成する。

 一番難しいのは、アイスを丸くすくう技術の習得だ。素材によって、重さや柔らかさが異なるので一筋縄ではいかない。

 サーティワンでは店長の横のつながりが深く、同じエリア内の店長を招集して会議を1カ月に1度開催したり、カレッジの同期生が集まる同窓会を開いていたりする。そうした中で、成功事例を学んだり、モチベーションを高めたりといった好循環が生まれている。

 オーナーはFCに加盟して2000万円くらいの資金を用意すれば店を出せる。アイスのショーケースはレンタル可能で、定期点検は本部が行う。配送されてきた商品をショーケースに入れれば販売できるので、飲食店のような仕込みが要らない。そのため、誰もが始めやすいビジネスとなっている。

photo アイスを丸くすくうのは難しい

増える「スイーツ男子」

 顧客層は、女子中高生が3割、小さい子どもを連れた主婦が3割となっているが、ファミリー層や男性客が最近は増えてきている。「スイーツ男子」という言葉の通り、若い男性は抵抗なくサーティワンに来店する傾向があるそうだ。

 アイスクリームが年間商品として定着し、サーティワンには追い風が吹いている。コンビニに置いて売り上げを伸ばす「ハーゲンダッツ」のようなやり方もあるが、わざわざショップに行って購入するという体験こそがサーティワンの商品を魅力的にしている。つくり立てを提供するハレのブランドとしての価値をこれからも追求していくならば、順調に成長するだろう。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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