その「かっこよさ」に対して反応したのが、若い学生たちだった。1000円以上の文具が人気を集めているブームの追い風はあったものの、オレンズネロの価格も、黒一色のデザインも若者向けとは言い難い。それでも受け入れられたのは「シャープペンのメインユーザーである若者層に迎合しなかったからでは」と飯塚さんは見る。
「近寄りがたい。分かりやすくないけど、すごい。だからかっこいい。そんなイメージが、『使ってみたい』という憧れにつながったと思います。『かっこいいものを持っている』というキラキラした気持ちは、若い人もおじさんも同じです」
オレンズネロがヒットしても「迎合しない」という意識は変わらない。「黒以外の色や、一般的な0.5ミリの芯では出さないのか、という質問をよく受けますが、すぐにそれを出してしまうと、ブランドとしてぶれてしまう。シャープな書き心地を味わえる極細芯の使いやすさを、もっと知ってもらいたいです」
オレンズネロの今後について、「もっとすごいもの、もっと面白いものを出して、息の長いブランドに育てていきたい」と意気込む飯塚さん。「すごい技術」を「すごい」で終わらせず、それを生み出した信念を徹底的に掘り起こしていったことが、幅広い支持につながったようだ。
ぺんてるのサインペン “書きやすさ”の理由
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