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» 2018年08月22日 07時30分 公開

自動で芯が出てくる:「1本3000円」のシャープペンをヒット商品にした、“近寄りがたさ” (2/4)

[加納由希絵,ITmedia]

一般の客と同じ目線で

photo 「オレンズネロ」(0.2ミリ、0.3ミリ)。シンプルな箱の中には、本体と説明書が入っている

 「なぜ3000円もするのか? 技術者に説明してもらっても、何がすごいのか分からない。最初は、全く理解できませんでした」と振り返る飯塚さん。筆ペンの担当から、シャープペンに異動してきたばかり。技術的な話を聞いてもよく分からない。一般の客と同じ目線だった。

 そこで、まずは技術への理解を深めようと、技術開発の拠点である工場に通うことから始めた。しかし、技術者たちと話すハードルは高い。ほとんど男性の技術者ばかりで、彼らは口数が多くない。最初はコミュニケーションに苦労したという。「行くのが憂鬱(ゆううつ)になったこともありました。これまで、シャープペンの商品企画を女性が担当することはあまりなかったため、『なめられたくない』『実績を残したい』という一心でやっていました」

 技術者たちが決まって口にするのは「いいものを作った」という自負。もちろんそれは事実だが、それだけでは客に伝わらないと飯塚さんは考えていた。「大事なのは、どのように発信するか。外に発信する言葉を明確にしないと届かない」。高い技術が詰まったシャープペンをどう見せるか。それを探るため、技術者たちと向き合い続けた。

 そうするうちに、伝わってきたのはオレンズネロに対する「愛」だったという。商品に関わる人たちの「ネロのためにこうしよう」「これはネロには合わないよね」という話しぶりから、「1人の人格のよう。愛されている存在」だと思うようになった。

photo 28点もの部品から作られている

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