米ハーバード大学などの共同研究グループが看護師を対象に行った調査では、「夜勤」が心身に与える影響が分かりました。
調査では約7万5000人の勤務状態と健康を22年間追跡(1988〜2010年)。膨大な時間と労力をかけた、信頼性が極めて高い調査が明らかにしたのが、次のような事実です。
つまり、生活リズムと体内時計のずれは、慢性的な時差ボケを経験しているのと同じです。内臓は“就寝時間”になっているのに、無理に働くと体がダメージを受ける。それが引き金となり、高血圧、睡眠障害、精神疾患、心臓病などを発症し、「寿命」というコストを支払う羽目になってしまうのです。
日本でも時計遺伝子に関する研究は進められていて、非常に興味深い事実が分かってきました。
山口大学時間学研究所の明石真教授らの研究グループによると、「早出と遅出のシフトが1週間ごとに入れ替わるシフト勤務に就いている人の場合、睡眠や食事の時間に7時間ほどズレが生じるのに対し、体内時計の変化は2時間程度」。つまり、5時間のタイムラグを埋めるために、心身は膨大なコストを払わされることになってしまうのです。
ちなみに、明石教授らの研究グループは、頭髪やひげなどの根元に付着する細胞を採取することで、時計遺伝子の働きを測定できることを発見していました。先の調査でもその知見を生かし、早出や夜勤など勤務の交代制がある職場で働く人たちのひげを3時間に1回採取。毛根の細胞を利用して、体内時計と勤務の関係を調べました。ひげで体の中の動きまで分かってしまうとはあっぱれです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング