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» 2018年08月24日 18時05分 公開

新型「クラウン」が霊きゅう車に:消えた「宮型霊きゅう車」の代わりに、葬儀業界で「つながるクルマ」が主流になる? (1/2)

終活ビジネスの展示会「エンディング産業展2018」に、霊きゅう車に改造した新型「クラウン」が出展されていた。出展社に、かつて主流だった「宮型霊きゅう車」が街から消えた理由を聞いた。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 「霊きゅう車を見掛けたら、親指を隠す」――。そんな言い伝えが広く知られていたのも今は昔。車体の後ろ半分をみこしのように飾り立てた「宮型霊きゅう車」は、近年めっきり見かけなくなった。

 大正期から100年以上にわたって使われ、宮大工によって伝統的な細工が施された宮型霊きゅう車が姿を消したのは、2010年前後。その後は、普通の乗用車に見える「バン型」「洋型」が多く使われている。

photo めっきり見なくなった「宮型霊きゅう車」

 17年1月には、宮型霊きゅう車製造の草分けとして知られた1920年(大正9年)創業のセガワ(大阪市)が1億円の負債を抱えて破産する出来事もあった。

 国土交通省の調査によると、17年3月現在、国内の運送事業者が保有する霊きゅう車の総数は1万5604台。宮型の台数は一部で800台程度と報じられていたが、現状を国交省や自動車検査登録協会、全国霊柩自動車協会に問い合わせても「宮型がいま、全国にどの程度残っているかは分かりかねる」との回答だった。

“終活ビジネス”展示会でも宮型霊きゅう車はなし

 8月22〜24日に東京ビッグサイトで開かれた“終活”ビジネスの展示会「エンディング産業展2018」(TSO International主催)でも、メーカーが新モデルの霊きゅう車を展示していたが、その全てがバン型と洋型。宮型は1台も展示されていなかった。

 同展示会に出展していた霊きゅう車の専門メーカー、カワキタ(富山市)の担当者に理由を聞いたところ、「ご遺体が納められていることが分かりやすく、近隣住民が『縁起が悪い』と嫌がるため、宮型の使用を条例で禁止する地方自治体が増えている。宮型の乗り入れを禁止している火葬場も増えている」と回答。

 「その影響で宮型はほとんど使われなくなり、ご遺体を載せていることが分からないモデルが主流になっている」という。

photo 埼玉県越谷市の条例(=公式Webサイトより)
photo 大阪府枚方市でも、宮型霊きゅう車が禁じられている(=公式Webサイトより)

 現在の遺体の輸送方法は、「エスティマ」(トヨタ自動車、以下同)や「ヴェルファイア」を改造したバン型で病院などから自宅へと運び、「クラウン」「センチュリー」を改造した洋型で葬儀場へと運ぶケースがほとんどだという。

photo 霊きゅう車に改造された新型「クラウン」

 また、カワキタは同展示会に、他社に先駆けて霊きゅう車に改造した新型「クラウン」を出展。ベースとなるクラウンは6月に発売されたばかりだが、「技術力を結集してつくり上げた。多くの台数を売ろうとは考えていないが、いち早く使いたい葬儀社などに導入できれば」と意気込む。

 一般のクラウンと同様、車載通信機を搭載。「LINE」のトークを使ってナビの目的地を設定できるなどの「コネクティッド」サービスに対応する。価格は税別745万円〜。

 また、「Himiko」「オロチ」などのオリジナルカーで知られる自動車メーカー、光岡自動車(富山市)の担当者も「現在、宮型を使っている葬儀社は限りなくゼロに近いだろう。当社も宮型の製造をやめてしまった。今後は新型『クラウン』の改造と商品化に取り組みたい」と話す。

photo 光岡自動車の霊きゅう車「ガリューV(ファイブ) オーバーハングストレッチリムジン」

 豪華な装飾を施した宮型霊きゅう車が街から姿を消した一方、見た目は普通の自動車と変わらない“ネットにつながる霊きゅう車”が主流になる日も、そう遠くなさそうだ。

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