もちろん、どの国でも、どの民族でも多かれ少なかれ、暴力で人を教育・指導する人たちが存在したが、それを否定する人たちも多くいた。日本もご多分にもれず、「肯定派」と「否定派」が長いこと拮抗してきたのである。
だが、日本が他国・他文化と比べて極めて特殊なのは、「否定派」であっても、腹の中で「暴力指導には効果がある」と信じている人が圧倒的に多いことだ。なぜ、そしていつから我々はこのようなダブルスタンダードにとらわれてしまったのか。
それを読み解く鍵が、戦後間もない1949年8月、読売新聞の「世論調査」にある。「子供をしかる時に“なぐる”ことが良いかと思いますか 思いませんか」という質問に対して、81.9%の親が「悪いと思う」と回答をした。
戦時下でゴリゴリの暴力指導が横行していた時代を終えて、多くの親たちが「暴力」を否定するのは非常に納得感のある話だが、驚くのは次の質問への回答である。
「子どもをしかるとき“なぐる”ことがありますか」という質問に対しては、54.9%が「ある」と回答しているのだ。つまり、この時代の親の多くは、「分かっちゃいけるけど、やめられない」という感じで、我が子に鉄拳制裁を加えていたのだ。
マスコミの「感動をありがとう!」が、実はとってもヤバい理由
剛力彩芽が叩かれる背景に、日本人の国民性
登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
大東建託が「ブラック企業」と呼ばれそうな、これだけの理由
電通や東芝といった大企業が、「軍隊化」してしまうワケ
「着物業界」が衰退したのはなぜか? 「伝統と書いてボッタクリと読む」世界Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング