野焼きは「違法」か 農地とニュータウン混在の自治体の悩み苦情殺到(1/4 ページ)

» 2018年09月15日 09時38分 公開
[産経新聞]

 農家が稲わらや刈り取った草を屋外で焼く「野焼き」。病害虫駆除の役割などを果たすとして古くから行われてきたが、平成13年改正の廃棄物処理法で「農業を営む上でやむを得ない場合」を除き、全面禁止になっている。ところが、ニュータウンなど農地と人口密集地が近接する地域では近年、野焼きに対し「臭い」「煙たい」などの苦情や、火事と間違われて通報されるなどのトラブルが急増している。自治体側も野焼きのガイドラインを策定したり、相談ダイヤルを設置するなど対策に乗り出したが、全面禁止にすることは難しく、根本的な解決策は見つからないままだ。(中川三緒)

人口急増に合わせ苦情殺到

 兵庫県南東部に位置する三田市。かつてはおだやかな農村地帯で、昭和33年の市制施行当時の人口は約3万2千人だったが、50年代から大規模なニュータウンが開発され、60年まで3万人台で推移していた人口は平成2年に6万人、8年には10万人を突破した。人口増加率が昭和62年から10年連続で日本一となるほどで、現在も人口の約半数がニュータウンに居住する。 宅地開発が進む一方、古くからの農地も残ったが、近年、市街地と農地の境界付近で野焼きへの苦情が増加している。

 市環境衛生課によると、野焼きへの苦情は平成28年度で33件、29年度で62件だったが、30年度は7月末時点で114件と急増している。

 警察への通報も増え、兵庫県警三田署が対応を強化している。同署は「草はクリーンセンターなどで処分できる。農家の野焼きとはいえ、個別で適法かどうか判断する」として、煙やにおいなどに対する通報を受けると、農家へ出向き指導。違法の疑いがあると判断すれば事情聴取なども行っている。

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