仮想通貨取引所「Zaif」を運営するテックビューロ(大阪市)は9月20日、不正アクセスを受けて67億円相当の仮想通貨が流出したと発表した。うち45億円は顧客資産、22億円は同社の資産という。現在は金融庁や捜査当局への届け出などを済ませ、第三者からの協力を得つつ、原因の調査と顧客資産相当の財源確保に努めている段階だ。
また、同社の株主でもあり、投資支援サービスなどを手掛けるフィスコ(東京都港区)の関連会社と、50億円相当の資本提供を検討する旨の契約を締結済みという。
同社によると、不正アクセスがあったのは14日午後5時〜午後7時頃。仮想通貨をオンライン環境で管理する手法「ホットウォレット」を適用していた、ビットコイン(BTC)、モナコイン(MONA)、ビットコインキャッシュ(BCH)の3種類が被害にあったという。
サーバ異常を検知したのは17日で、ハッキング被害を確認したのは18日。被害に遭った仮想通貨がどのようにして流出したのかなど、詳細は現在も調査中としている。
現在、Zaifは仮想通貨の入出金など一部サービスを停止していて、再開のめども立っていない。また、顧客資産の保全対応などを完了させた後、テックビューロの経営陣は役員を退任する方針。
この問題は、海外メディアも相次いで報じている。
米大手仮想通貨メディアCoinDeskは同事件について、「日本では、1月にコインチェックで起きた580億円相当の『NEM』流出に次ぐ不正アクセス事件だ」「テックビューロは金融庁から、過去(3月・6月)に業務改善命令を受けていた」と報じ、その規模の大きさと管理体制の不備を取り上げた。
また、Reutersは、金融庁の遠藤俊英長官が8月、取材に対して「仮想通貨業界を過度に抑制するつもりはない。適切な規制の下での成長を望んでいる」と語っていたことを紹介。
その上で「今回の流出事件は、金融庁が現在行っている、仮想通貨関連の規制見直しにも影響を与える可能性がある」と指摘した。
6300ドル前後での推移を続けていたビットコイン価格は、Zaifの仮想通貨流出事件の影響を受けたとみられ、一時6100ドルまで急落。だが、その後すぐに価格は回復し、現在(20日午後4時15分時点)は6400ドル前後で推移している。
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