ICOに代わる資金調達手段「ILP」とは何か?blockhive創業者に聞く(2/6 ページ)

» 2018年10月29日 16時57分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 ICO自体はビットコインが生まれた08年以降、早期から存在した。14年にはイーサリアムがICOを実施し、当時の価格で約16億円を調達している。その後、17年にはICOバブルと呼べるほどの熱狂を呼んだ。ビットコインの急激な値上がりとともに、仮想通貨全体への期待感から大型のICOが次々と実施された。件数は1000件弱、調達金額は合計で70億ドル(約8500億円)に上った。

 18年初頭の仮想通貨バブルの崩壊とともに、ICOの行方も懸念されたが、低調な仮想通貨時価総額とは裏腹にICOは好調だ。PwCとスイスのCrypt Valley協会が共同で発表したレポートによると、18年は1月〜5月だけで、17年の2倍の資金がICOで調達されている。

 これほどICOが注目される背景には、株式や借り入れ以外の資金調達方法として、画期的な特徴があるためだ。

 「米国や英国に面白いスタートアップがあって投資しようとしたら、これまではドルやポンドで送金しなくてはいけない。銀行から送金しようとすると、たった1000円支援したくても4000円の送金コストがかかる。そのため小口の投資はできなかったのが、ICOはそこに門戸を開いた」(日下氏)

 これまで、上場していない企業への投資というのは一部の人だけに限られたものだった。ところが、ICOでは個人でも問題ない少額から投資が可能で、円やドルといった通貨に縛られないため世界中から資金を集めることができる。さらに、間に証券会社などが必要なく審査などもないためスピーディに実行できる。こうした特徴から、爆発的にICOは広まった。メッセージングアプリ「Telegram」は18年にICOで約1800億円を調達、分散型アプリケーションプラットフォームの「EOS」は4400億円を調達するなど、大型調達が相次いでいる。

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