日本和装、元社長が1億円超を私的流用 ロールスロイスの維持費・引っ越し代に使用クルーザーの維持費も(1/3 ページ)

» 2018年11月02日 19時04分 公開
[ITmedia]

 着付け教室を展開する日本和装ホールディングス(HD、東証2部)はこのほど、2018年7月に東証1部への指定替え申請を「内部管理体制の見直しが必要」との理由で取り下げた件について、体制不備の詳細を明らかにした。社長兼会長の吉田重久氏が、私物のクルーザー船やロールスロイスの維持費、私宅の転居代金など計約1億1000万円を同社の資金から拠出していたという(肩書は当時、以下同)。

 また、道面義雄副社長と菅野泰弘取締役の転居代金などを日本和装HDが負担していたことも判明。さらに、吉田社長や親族が一定数の株式を持つ企業と取引する際に、同社が多額の接待交際費などを負担していたことも明らかになった。

photo 日本和装の公式Webサイト

 同社と利害関係のない弁護士と社外取締役からなる特別調査委員会の調べによって発覚した。吉田社長は返還を求められた約6000万円を返金しているため、調査委は今後、関係者と関係企業に金銭の返還を求める方針。

クルーザー船の維持費は約2300万円

 吉田社長のクルーザーを巡っては、日本和装HDは14年12月期〜18年12月期にかけて、維持費や係留料として計2312万2652円を負担していた。経費申請に当たっての稟議書には、事前に吉田社長と、菅野取締役ら常務取締役の押印などがあった。また、決裁後に常務監査役、内部監査室が押印していた。

 同クルーザーが吉田社長の私物であることを菅野取締役、常勤役員、内部監査室長は知っていたが、「社員の懇親会や顧客の接待・交際で(船を)使用していたため、関連当事者取引・利益相反取引だと認識することはなかった」という。

 吉田社長の役員報酬がピーク時の4割程度に落ち込んだ時期に、菅野取締役が「会社で負担しましょうか」と持ち掛けたという。

ロールスロイスの維持費は約180万円

 同じくロールスロイスを巡っては、同社は16年12月期〜18年12月期にかけて、維持費・自動車税・保険料として計181万3378円を負担。決裁の流れなどはクルーザー船と同じであり、私物であることを関係者は認識していた。

 車両を業務目的で使用していたため、不適切だとの認識はなく、菅野取締役から会社負担を提案したという。

photo ロールスロイスを巡る資金流用の詳細(=調査報告書より)
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