厚生労働省は10月31日、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新した。9月までの分として74社を追加した一方、厚労省が「掲載の必要性がなくなった」と判断した企業を削除し、掲載企業は447社となった。
過労死ゼロを目指す取り組みの一環で、2017年5月にWebサイト上に初公開。公表から1年がたったため現在は削除されているが、当初は電通本社やパナソニックなどの大企業が名を連ねる“ブラック企業リスト”として話題を呼んだ。
今回の更新では、18年の成人の日に予告なく営業を中止し、振り袖を着られない新成人を続出させた振り袖販売・レンタル会社「はれのひ」がリスト入りした。
はれのひの元社長・篠崎洋一郎氏は、粉飾した決算書類を提出し、銀行から融資金をだまし取っていたとして18年6月に逮捕。同様の手口を他の金融機関にも行っていたことも発覚し、同年7月に再逮捕され、現在は横浜地裁に起訴されている。
リスト入りした要因は、一連の事件とは異なり、労働者27人に対して1カ月分(17年8月分)の定期賃金計約510万円を支払わなかったため。
篠崎氏は1月の会見で「2017年4月に仕入れ先への支払いが滞り、商品の供給がストップした。従業員のモチベーションが下がりはじめ、危機感を感じた」などと説明していたが、8月には給与の支払いも難航していたようだ。
はれのひ以外にリスト入りした企業は、つり上げ荷重1トン以上のクレーンを駆使した玉掛け業務に無資格者を従事させた土木事業者「ランデス」(岡山県真庭市)、労働者3人に半年分の定期賃金計約217万円を支払わなかった飲食事業者「JFB総研」(山口市)など。
労働基準監督署への出頭を命じられたのに出頭しなかった小売業者「ステイトオブザアートストア」(京都市)、大量の発汗を伴う作業場に従業員の健康管理用の塩を用意しなかった塗装事業者「ヤマトエンジニアリング」(神奈川県大和市)など、比較的珍しい理由で書類送検され、リストに入った企業もみられた。
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