転居を巡っては、過去に吉田社長の自宅に脅迫状が届く事件があり、対応策として10年3月に「自宅住所を公にするリスクを回避するために、役員は必要に応じて速やかな住居移転を可能とする」という旨に社内規定を変更。
これを踏まえ、吉田社長は10年12月期〜16年12月期にかけて、自宅とは異なる物件を手配。麻布十番から六本木、虎ノ門へと定期的に場所を移したが、その際に生じる敷金・引っ越し代金と、賃料を合わせた4911万366円を会社に負担させていた。
16年12月期〜18年12月期には自宅も定期的に転居し、田園調布・元麻布・日本橋に居住。その際の会社負担額は3526万7992円だった。
一連の転居費用を巡る稟議は特別扱いとし、取締役会で正式な承認手続きは経ていなかったという。
道面副社長は、17年3月に大阪から東京に転勤になった際の転居費用とその後の賃料計906万6200円を、菅野取締役は11年8月に仙台から東京に転勤になった際の転居費用など計379万7334円を会社に負担させていた。
他社との取引を巡っては、吉田社長の妻が40%の株式を保有する企業「ワイズ・アソシエイツ」と組んで広告宣伝を行う際、取締役会の承認手続きを経ないままCM撮影企画料などとして計693万2000円を負担していた。
また、吉田社長の妻が代表を務める財団が89%の株式を保有する飲食事業者「エス・アンド・ケー」に対し、役職員の接待交際費として計31万569円を支払っていた。
吉田社長が79%の株式を保有する飲食事業者「ニッキ」には、飲食費やチラシ印刷代などの名目で計1232万2794円を支払っていた。一方、経営指導料として200万円を受け取っていた。
各支出の妥当性などを検討した結果、調査委は吉田社長に6020万4022円の返金を要求し、すでに返還されたという。未返金の道面副社長には439万200円、菅野取締役には219万7334円を要求する方針。
他社に対しては、「ワイズ・アソシエイツ」「エス・アンド・ケー」との取引には「対価の妥当性を疑わせる事情は特段見受けられない」との判断から返金は要求しないが、「ニッキ」には599万5863円の返金を求める。
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