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» 2018年11月14日 17時22分 公開

セダン重視、デザイン平凡化……:かつての新星、韓国現代自動車はなぜ輝きを失ったか (1/3)

世界5位の自動車メーカー、現代自動車が苦境に陥っている。SUV人気の高まりなど消費者の嗜好が変化していることに気づかず、ブランドイメージにそぐわない高価格車を追求してしまったという。

[ロイター]
photo 11月5日、中国重慶にある人影まばらな韓国の現代(ヒュンダイ)自動車販売店では、大型でより安価なスポーツタイプ多目的車(SUV)といった世界最大の同国市場で人気の車種がなく、客足が遠のいている、と店長が嘆いていた。写真は10月、北京の自動車エキスポ会場に展示された現代のソナタ(2018年 ロイター/Thomas Peter)

[ソウル/デトロイト/重慶 5日 ロイター] - 中国重慶にある人影まばらな韓国の現代(ヒュンダイ)自動車販売店では、大型でより安価なスポーツタイプ多目的車(SUV)といった世界最大の同国市場で人気の車種がなく、客足が遠のいている、と店長が嘆いていた。

たとえ最大25%値引きしても、月間販売台数は100台程度にすぎないと、リーと名乗るこの店長はこぼす。近くにある日産自動車<7201.T>の販売店では、月間販売台数が400台程度だという。

「単純に売り上げが悪い。隣の日産を見てくれ。何十人も客が来ているのに、うちの店には2人しかいない」と、リー店長は愚痴った。

現代自動車<005380.KS>は、ここから車で1時間の場所に総工費10億ドル(1130億円)の巨大製造工場を構えている。年間生産台数30万台を目標に、昨年稼働が始まった。

だが、販売の伸び悩みに、中国市場の急減速が重なり、同工場の稼働率は3割程度にとどまっている。事情に詳しい関係者2人がロイターに明かした。

業界で世界5位の現代自動車は、重慶工場の稼働状況や販売店の売り上げについては触れなかったが、中国事業の回復に向けて、提携先の北京汽車(BAIC)<1958.HK>と「緊密に協力」しているとコメントした。BAICはコメントの要請に応じなかった。

この苦境は、急拡大する市場に素早く安価な人気モデルを投入することで現代自動車が中国進出当初に収めた成功からの劇的な凋落ぶりを物語っている。

2009年には、中国市場における現代自動車と傘下の起亜自動車の合計販売台数は、米ゼネラル・モーターズ(GM)と独フォルクスワーゲンに続く、第3位につけていた。

だが昨年、現代と起亜の合計販売台数は9位に沈み、中国での市場シェアも2010年代初めの10%超から4%へ、半分以下に落ち込んだ。

かつて現代自動車が誇っていた低価格帯モデルにおける市場優位を、吉利汽車(ジーリー)<0175.HK>や比亜迪(BYD)<1211.HK>など急成長する中国メーカーに譲ってしまった、と業界幹部や専門家は指摘する。

一方、海外のライバルメーカーは、高価格帯モデルで優勢を守っただけでなく、大衆市場向けに価格競争力のある自動車を投入し続けることで、現代自動車の「買いやすい外車」という地位を揺るがした。

世界第2位の自動車市場である米国においても、現代自動車のシェアは昨年4%に低下し、この10年で最低水準となっている。

中国や米国で同社が苦境に陥った理由は似ている。それは、SUV人気の高まりなど消費者の嗜好が変化していることに気づかず、ブランドイメージにそぐわない高価格車を追求してしまったことだ、と中国のディーラー4人と現職も含めた米国ディーラー6人、そして業界幹部や従業員は、そう口をそろえる。

現代自動車は、デザインの一新や新型SUV投入、そして地元の嗜好に合った自動車を素早く開発できるよう現地での裁量を拡大するなど、米国と中国という重要市場における問題改善に取り組んでいる、とロイターに文書で回答した。

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