ロボット開発の覇権、Googleにとって代わるのはソフトバンクか?“いま”が分かるビジネス塾(3/3 ページ)

» 2018年11月22日 07時35分 公開
[加谷珪一ITmedia]
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ソフトバンクは巨大市場を発掘できるか

 Boston Dynamicsはその後、軍との契約を打ち切られたとされるが、その理由ははっきりしていない。Googleは軍事技術の開発に否定的な会社であり、Google側から辞退したというウワサもあるし、単純な契約満了の可能性もある。

 いずれにせよGoogleはロボット開発に、当面、採算性を見いだすことができないと判断した可能性は高い。そうなってくると今後、ロボット市場のカギを握るのはソフトバンクということになる。

 ソフトバンクのロボット子会社であるソフトバンクロボティクスは18年6月、竹中工務店と共同で、建設現場におけるロボットの実証実験を行うと発表した。また、今月にはオフィス向けの床清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」の開発を発表した。

Whiz Whiz

 ロボット技術については介護現場での活用を期待する声も大きく、ソフトバンクは介護施設での実証実験もスタートしているが、安全が最優先される介護現場においてクリアすべきハードルは高い(ロボットは重量物で要介護者にとっては危険物となるので、万が一でも転倒や衝突することは許容されない)。

 当面は限られた用途での活用になるだろうが、この市場だけで膨大な開発費を回収することは難しいだろう。これまで想像もしなかったようなボリュームゾーンでの用途を開拓できなければ、ソフトバンクもどこまで事業を継続できるのかは分からない。ロボット事業はひとつのヤマ場を迎えつつある。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


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