伊予銀行が、RPAではなく業務を再構築してチャットボットを導入したわけ地銀だからこそ変われる

» 2018年11月22日 15時23分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 愛媛の地方銀行、伊予銀行が業務のデジタル化を進めている。既存業務の中で自動化できるところを自動化していくいわゆるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ではなく、デジタルでのフローを前提として業務をゼロベースで組み立て直す取り組みをスタートさせた。

11月22日の発表会に登壇した伊予銀行の竹内哲夫常務取締役CIO

 コンサルティングと開発はアクセンチュアが行った。同社のプラットフォーム「Chat Co-Robot」を使い、まずは預金口座開設などの3業務を自動化した。顧客は、店舗に置かれたタブレットを使い、チャットボットの質問に答えていく形で手続きを終えられる。

 「従来の伝票記入だと45分くらいかかっていた。今回、お客様に入力してもらう時間は約6分。行員が事務に介在することはないが、通帳などの発行も含めると10分程度で完了する」(伊予銀行の長田浩 総合企画部長)

実際のiPadで動作するチャットボット

 伊予銀行は、営業エリアの人口減少や来店人数の減少などから、デジタル化に積極的に取り組んでいる。3年ほど前から、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)への取り組みとして事務の簡素化を進めてきた。その中で、顧客とのやりとりについては、業務フローの一部自動化ではなく、業務フロー自体をゼロから見直す形でシステムを作り上げた。

 アクセンチュア 金融サービス本部の粟倉万統マネジング・ディレクターは、「既存のシステムや与信ポリシーなど、既存のものに修正を加えていくアプローチだと時間がかかってしまう。新しいものを作って乗り換えてもらう形を取った」と話す。RPAでは、既存のプロセスを前提として、自動化できるものをしていくため、効率化は10〜20%程度と限界がある。今回のように、ロボとの対話を前提に業務を組み立て直した場合、70〜90%も業務を効率化できるという。

チャットボットを活用することで70〜80%の効率化を目指す

 店舗のタブレット上でロボットと対話して行う業務は、まずは口座開設に関わる3業務からだが、2019年には入金や住所変更などさらに18業務を追加。2020年までには26業務を対応させ、同行の国内全店舗に当たる148店舗に導入していく計画だ。

 「(チャットボットの導入で)あるタイミングで行員の人員が150人くらい減る想定をしている。(システム投資金額も)それを1年で回収できる金額になっている」(伊予銀行の竹内哲夫常務取締役CIO)

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