ゴーン氏が「悪者」で西川社長が「男らしい」というおかしな風潮 後編ゴーンショック(4/4 ページ)

» 2018年11月29日 07時00分 公開
[中嶋よしふみITmedia]
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ゴーン氏の「単独犯説」はあり得ない

 常識的に考えれば、ゴーン氏一人で日産の法人としてのお金を動かせるはずもなく、お金を使った痕跡を消すこともできない。

 筆者はゴーン氏をかばいたいわけでも、西川氏を個人攻撃したいわけでもない。株主構成などのパワーバランスがゴーン氏の背景にあったとはいえ、日産のような巨大なグローバル企業を一人の経営者が私物化できるはずがない、ということだ。万が一私物化できてしまっていたのなら、それは企業統治=ガバナンス上極めて深刻な問題で、個人の問題ではなく会社全体の問題、役員全員の問題である。

 繰り返しになるが、全ての責任がゴーン氏にあるかのような説明には無理があり、過去の私的流用が事実ならば、役員はそれを知っていてもいなくても、責任を免れることは難しいだろう。そして仮に司法取引で役員が刑事責任を問われず無罪放免となっても、民事に関する責任から逃げることはできない。

 執筆時点ではまだ事実関係は明確になっておらず、新しい情報が毎日のように出てくる状況だ。そしてゴーン氏は容疑を否認して、合法的に業務を行うよう指示を出していたと徹底抗戦の構えを見せている。今後の動向に注目したい。

執筆者 中嶋よしふみ

保険を売らず有料相談を提供するファイナンシャルプランナー。住宅を中心に保険・投資・家計のトータルレッスンを提供。対面で行う共働き夫婦向けのアドバイスを得意とする。「損得よりリスク」が口癖。日経DUAL、東洋経済等で執筆。雑誌、新聞、テレビの取材等も多数。著書に「住宅ローンのしあわせな借り方、返し方(日経BP)」。マネー・ビジネス・経済の専門家が集うメディア、シェアーズカフェ・オンライン編集長も務める。お金より料理が好きな79年生まれ。

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