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» 2018年11月30日 07時00分 公開

熊本地震で脚光浴びる:「被災時の赤ちゃんの命綱」液体ミルクは普及するか グリコが発売へ (1/2)

江崎グリコが乳児用液体ミルクを発売する方針を発表した。粉ミルクと違ってお湯が要らず被災時の活躍が期待されるが、実際に日本で受け入れられるかは未知数。

[服部良祐,ITmedia]

 江崎グリコは11月、乳児用の液体ミルクを2019年春をめどに発売する方針を発表した。日本で乳児用ミルクは粉末タイプしか製造されておらず、法律でも製品の規格が定められていなかったが、厚生労働省が8月に省令を改正して規格基準を新たに設けたことで可能になった。国内のメーカーで乳児用液体ミルクの製品化を発表したのは江崎グリコが初となる。

被災時に活躍期待、イクメンの助けにも

 欧米では普及している国も多い液体ミルク。粉ミルクと違ってお湯に溶かす必要が無く、温めずに乳児に飲ませられ常温保存も可能だ。16年の熊本地震の際にフィンランドからの支援物資として被災地に送られて脚光を浴びるようになった。江崎グリコもまずは災害時用の備蓄物資としての需要を見込む。粉ミルクに比べ手間がかからないことから外出先での利用や、育児にさほど慣れていない父親の需要も想定される。

photo 江崎グリコが発表した乳児用液体ミルクの試作品(同社提供)

 ただ、液体ミルクについては従来、少子化の中で十分なニーズがあるか見通しが立ちにくく、乳業業界でも生産にすぐ踏み切りづらかった経緯がある。価格も粉ミルクより高めになるとみられ、液体ミルクを使ったことのない日本の母親にどれだけ納得して受け入れてもらえるかがポイントとなる。

 江崎グリコは11月29日にメディア向けの説明会を開催した。公開された試作品は紙パックに125ミリリットルが入った商品で、ストローを刺して哺乳瓶に注ぎ使う。賞味期限は6カ月。価格は未定だが、同社によると海外で販売されている一般的な液体ミルクは粉ミルクの2〜3倍が相場という。今回の商品も粉ミルクより高価格帯になるとみられる。

 同社によると16年の熊本地震でフィンランドからの支援物資として液体ミルクが届けられたことを受け、国内メーカーとして製造できないか検討し始めたという。実際に東京都文京区などと連携し、災害用の備蓄物資としてこの液体ミルクを提供する取り組みを行う。

 同社の担当者は「災害大国の日本で震災は今後も起こりうる。そういう時に赤ちゃんは災害弱者になる。液体ミルクの役割は赤ちゃんの命をつなぐことだ」と説明した。また、説明会では大正大学心理社会学部で男性学を研究する田中俊之准教授が登壇して、「イクメン」にも液体ミルクの需要があると説いた。「夜中の授乳などは父親の出番。父親が限られた時間の中で育児をする際、(手間のかからない)乳児用液体ミルクの活用が期待される」(田中准教授)。

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