加熱式たばこ「互換品」は許されるのか フィリップモリス、JTの見解は?流通を阻止できるか(1/2 ページ)

» 2018年12月02日 05時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 フィリップ モリス ジャパン(PMJ)の「IQOS(アイコス)」や日本たばこ産業(JT)の「Ploom TECH(プルーム・テック)」といった商品が高い支持を獲得し、市場の拡大が続く加熱式たばこ。人気の要因は、紙巻きたばこよりも有害物質やにおいが少ない点などだ。

photo PMJが11月に発売した新モデル。アイコス3(=左)、アイコス3マルチ(=右)

 だが好調の裏では、たばこメーカーに直接関係のない第三者的な立場の企業(サードパーティー)が、アイコス用たばこや、プルーム・テック用たばこカプセルに対応した「互換品」を相次いで発売する事態となっている。

好調の裏ではびこる互換品

 例えば、Amazon.co.jpには、アイコス用たばこを差し込むと、加熱温度を200度〜300度の間で自由に調節した上で吸える機器や、正規品よりも多い15本連続で喫煙できる機器、内部を自動清掃したり、過去に吸った本数や喫煙時間を記録したりできる機器などが出回っている。

photo 「アイコス」の互換品(提供社名は伏せています)

 その他のEC(インターネット通販)サイトでは、プルーム・テック用たばこカプセルと、互換品メーカーオリジナルのリキッドの両方をセットすると、ブレンドして風味を変えられる商品や、アイコス用たばことプルーム・テック用たばこカプセルの両方に対応した商品なども売られている。

 こうした状況は、プリンタ業界におけるインクカートリッジを想起させる。同業界では、プリンタメーカーではない業者が正規メーカーのプリンタで使えるインクを製造・販売するケースが増え、特許権を侵害したとして訴訟に発展する例も起きている。

photo 「プルーム・テック」の互換品(提供社名は伏せています)

 たばこメーカーがサードパーティーを訴え、大規模な訴訟に発展したという話はあまり耳にしないが、各社は現状をどう捉えており、どう対処していくのだろうか。PMJとJTの広報担当者に見解を聞いた。

PMJは互換品をどう捉えている?

 PMJの広報担当者は、現状について「現在、当社が販売しているもの以外のアイコス関連製品が多く販売されていることは認識しております。ただ、製品のタイプはさまざまで、特許などの知的財産権を侵害しているかどうかはケース・バイ・ケースであり、個別に調べてみないと分かりません」と説明する。

 悪質なケースへの対策としては「知的財産権を侵害する場合には、親会社であるPMI(米Philip Morris International)に確認し、しかるべき対策を取っています」という。

 ただ「アイコスの互換性がある製品というだけでは知的財産権を侵害しているとはいえず、知的財産権の侵害であるという確証がない段階で、互換性製品メーカーに対してクレームを入れると、逆に当社が権利の乱用や販売先への営業妨害を行っていると捉えられる可能性もあります」とし、安易に知的財産権侵害を主張できないというジレンマも明かした。

 また同社はこれまで、安全性を証明するため「アイコスが発する有害物質は紙巻きたばこよりも約90%少ない」といった研究結果を相次いで発表してきたが、互換品はその限りではないという。

 PMJの広報担当者は「発表している科学的な実証はアイコス本体とアイコス用たばこの組み合わせで実証されているものです」と指摘し、互換品を使った場合は健康に悪影響を及ぼすリスクが増大する可能性もゼロではないとした。

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