紙巻きたばこを日常的に吸っている人が、加熱式たばこ「Ploom TECH(プルーム・テック)」に切り替えると、体内の有害物質は禁煙した場合と同じくらい低減する――JT(日本たばこ産業)は11月9日に都内で会見を開き、こんな臨床試験結果を発表した。
試験では、紙巻きたばこを日常的に吸う喫煙者を医療施設に入院させ、途中で(1)紙巻きたばこを吸い続ける人、(2)プルーム・テックに切り替える人、(3)禁煙する人――の3グループに分けた。
その後、尿や呼気に含まれる有害物質の量を検査した結果、(1)のグループに大きな変化はなかったものの、(2)(3)のグループは、極めて類似したペースで数値が低減したという。
JTは過去にも、プルーム・テックが発する蒸気(ベイパー)に含まれる有害物質量や、それが周囲の空気環境に与える影響について調査し、紙巻きたばこより安全であることを公表してきた。
JTの福地淳一執行役員は、今回の試験を行った背景として「加熱式たばこに関する社会的関心が高まっており、6月にプルーム・テックの全国拡販を始めたこと」を挙げ、その安全性を「正しくご理解いただきたい」と強調した。
ただ、今回の発表内容は「科学的なエビデンスをご紹介するためであり、マーケティング目的ではない」と述べ、商品のイメージ戦略や市場シェア拡大を目的に実験結果を公表したとの見方を否定した。
試験では2017年1〜2月にかけて、21〜64歳の喫煙者60人が福岡県の医療施設に5日間入院した。入院前の2日間を事前調査期間とし、普段吸っている紙巻きたばこの喫煙を認めたが、入院期間中は前述の3グループ(20人ずつ)に分けて経過を調べた。
入院期間中の3日目と5日目に検査を行い、参加者の尿や呼気を分析。アクロレイン、アクリロニトリル、クロトンアルデヒド、ベンゾピレン、ベンゼン、NNK、一酸化炭素、ニコチンなど、16種類の物質の暴露量を調査した。
調査対象の物質は、米国食品医薬品局(FDA)が提示する、紙巻きたばこの煙に含まれる有害物質のリストから選定した。
その結果、3日目の時点で、紙巻きたばこからプルーム・テックに切り替えた人から検出された有害物質量の大半が、禁煙した人と同程度減少していた。
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