過去2回ほど自動車税制のあり方を問う記事を書いてきた。
「豊田章男自工会新会長吠える!」と「豊田自工会会長モノ申す 日本経済をダメにする税制」ともに反響は大きく、多くの自動車ユーザーが税の不公平感を強く感じていることが分かった。
2019年10月1日に決まった消費税引き上げに関連して自動車税制が見直される。その議論が大詰めを迎えつつある。なぜ消費税率見直しとともに自動車関連税を見直すのかについての簡単な解説から話を始めたい。
大前提として日本の自動車関連諸税は主要国と比べて異常に高い。毎年かかる自動車税は米国の31倍、ドイツの2.8倍、英国の2.4倍。フランスは保有税ゼロなので倍数が出せない。とにかく異常に高い。それを是正しなくてはならない。
その上、税の趣旨がいろいろとおかしい。一番分かりやすいのは「自動車取得税」だ。これは旧物品税を置き換えたものだが、その後、ぜいたく品にのみかかっていた物品税は、全ての商品サービスに課税される消費税へと移行した。つまり同じ物品税から派生した自動車取得税と消費税がダブって2種類存在している。間違った二重取りである。これが改定されなければ自動車だけが自動車取得税3%と消費税10%を合計した13%の課税となる。
また、税の概念そのものもおかしい。この税の成立時には「受益者負担の原則」を前提に創設されており、道路整備などを目的とする「道路特定財源」の原資となる目的税であった。ところが、09年に道路特定財源は使用目的の縛りをなくし、一般財源化された。例えてみれば、野球部のグラウンド整備や用具の購入のために部費を集めておきながら、ある日これを「他の部にも使います」と一方的に取り決め、なぜかそのまま野球部だけが部費を徴収されている状態だ。誰がどう考えても不公平である。異議を唱えても「野球部のグラウンド整備は概ね終わったから」という噛み合わない回答になる。そのくせ、グラウンドの荒れ具合はどんどん進行している。終わったのなら部費を廃止するべきだ。徴収を続けるなら野球部に使うべきだ。
さすがにこの矛盾を押し通せなくなった結果、消費税改定のタイミングで自動車取得税は廃止が決まっている。
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