幹部逮捕に揺れる中国ファーウェイ、何が問題なのかセキュリティー問題との関係は(3/3 ページ)

» 2018年12月13日 07時00分 公開
[ロイター]
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対イラン制裁違反が指摘されている中国企業は他になかったか

ファーウェイの競合相手である中興通訊(ZTE)<000063.SZ>が昨年、米国による対イラン制裁措置などに違反し、米国製品や技術をイランに輸出していたことで有罪を認めた。米商務省は今年になって、ZTEがこの問題を巡って米当局との間で合意した猶予措置に違反したとして、米企業からの部品調達を禁止。これにより、ZTEは主要業務が停止する事態に陥った。

その後、トランプ米大統領の指示で新たな合意が成立し、部品調達の禁止は解除された。これは、トランプ氏が中国の習近平・国家主席に譲歩したものと受け止められ、米政府内からも驚きや怒りの声が上がった。

米中貿易戦争に関係はあるのか

対イラン制裁違反の捜査は、貿易戦争のずっと以前から始まっていた。だが今回の逮捕のタイミングは、トランプ大統領と習主席が一時休戦で合意した直後だけに、問題を複雑化させるだろう。

金融市場は逮捕のニュースを受けて、一時休戦が覆されることへの懸念から軒並み下落した。一方で、今回の逮捕が間の悪い偶然ではなく、米国側の意図的な挑発だったとの証拠はない。

ファーウェイは次にどうなるか

ZTEに一時課されたような米国製部品の調達禁止が実施されれば、ファーウェイにとって大打撃になるだろうが、それが直ちに実施される理由は現段階では見当たらない。もし今回の逮捕をきっかけに、特に欧州の主要国がファーウェイに厳しい対応を取るようになれば、ファーウェイの成長や影響力に長期的に影響が及ぶことになる。

それでも、中国が半導体開発などの難しい分野で米国に追いつこうと全力を挙げるなか、中国のハイテク産業の中心的存在であるファーウェイが、今後長期にわたり強力な勢力であり続けるのは間違いない。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

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