日清と激突? セブンの冷凍カップチャーハンが起こした“革命”と“カップご飯戦争”長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)

» 2018年12月18日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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日清が切り開いたカップご飯

 もともと、カップご飯に熱心に取り組んできたのは日清食品だ。1975年、豊作が続いて余剰米の処理に困っていた食糧庁から、当時の安藤百福社長に対して、カップヌードルのように手軽に食べられる商品ができないものかと要請されたことからその歴史が始まる。

 日清食品が発売した「カップライス」は、お湯を注いで数分してから湯切りをすると出来上がる商品だった。えびピラフ、ドライカレー、五目すしなど7種の商品ラインアップとなっており、当初は画期的な商品だとよく売れた。しかし、ご飯は家でも炊けることや、値段が即席ラーメンの数倍だったことなどがあり、結局は販売不振に陥って撤退した。

 09年には電子レンジで調理する「GoFan」を発売。五目チャーハンやチキンライスなどをそろえた。これは、カップの内側にある線まで水を入れ、ライスと具を投入し、電子レンジで5分半ほど過熱する仕様だった。しかし、270円程度と値段が高く、水を入れて加熱する工程が煩雑だといった理由で、これもヒットしたとは言い難かった。

 しかし、10年に発売した「カップヌードルご飯」は、同じ仕様でありながら、「カップヌードルのスープにご飯を入れたらチャーハンみたいな仕上がりになった」と話題となり、電子レンジ調理のカップご飯としては初のヒットとなった。

 現在、日清はお湯を注いで数分で出来上がる商品群に力を入れている。16年に発売した「カレーメシ」、即席ラーメン風味の謎肉丼などの「ぶっこみ飯」、スキヤキ牛めしなどの「日本めし」といったシリーズがあり、消費者からの評判も上々でしばしばSNSで話題になる。

 カップご飯は、これからも商品アイテムが増えていくだろう。その際に、セブンの冷凍食品が主流になるのか。それとも、日清が試行錯誤の末に到達した、お湯を注いでご飯を戻すタイプが主流になるのか。

 過熱するカップご飯戦争から、しばらく目が離せない。

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著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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