厚生労働省はこのほど、労働基準関係法違反の疑いで送検された企業のリストを更新した。2018年11月までの分として75社を追加した一方、厚労省が「掲載の必要性がなくなった」と判断した企業を削除したため、掲載企業は468社となった。
過労死ゼロを目指す取り組みの一環で、17年5月にWebサイト上に初公開。公表から1年がたったため現在は削除されているが、当初は電通本社やパナソニックなどの大企業が名を連ねる“ブラック企業リスト”として話題を呼んだ。
今回の更新では、大学発ベンチャーを中心に、大規模な賃金未払いが発覚した企業や、危険な環境下で労働者を働かせた企業が追加されていた。
具体的には、九州大学発のITベンチャー・スマートサービステクノロジーズ(福岡市、18年3月に解散)は、労働者13人に2カ月分の定期賃金計約1000万円を支払っていなかった。慶應義塾大学発の医療ベンチャー・福老(東京都大田区、18年5月に破産手続開始決定)は、労働者14人に1カ月分の定期賃金計約725万円を支払っていなかった。
大学発ベンチャー以外では、労働者12人に7カ月分の定期賃金計約1370万円を支払わなかった食品機械の製造会社・山下技研(山口県下関市)もリスト入り。労務関連情報の専門紙「労働新聞」の報道によると、現在は12人の労働者は全員退職しており、代表取締役が1人で運営しているが、事実上の事業停止状態にあるという。
このほか、17年12月に事業停止し、その後破産申請を行ったLED照明器具卸販売のロボストラクト(横浜市)も追加された。同社は労働者5人に対し、7カ月分の定期賃金計約950万円を支払っていなかった。
危険な環境下で労働者を働かせた旨でリスト入りした企業には、プレス機械の運転を停止させないまま労働者に清掃作業を行わせた建材メーカーの銘建工業(岡山県真庭市)、刃物を押し当てて対象物を加工する装置「NC旋盤機」の回転部分に覆いや囲いを設けないまま労働者に使用させたプラスチック加工業者の大実製作所(東京都品川区)などがある。
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