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» 2019年01月16日 07時00分 公開

ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る:アメコミの巨匠スタン・リー 知られざる「日本アニメに見いだした夢」 (1/6)

2018年に亡くなったアメコミの巨匠スタン・リー。実は晩年、日本のアニメ・マンガを積極的に手掛けていた。異国のコンテンツビジネスに見いだした夢とは。

[数土直志,ITmedia]

 2018年11月12日、アメコミの巨匠スタン・リー(Stan Lee)がロサンゼルスの病院にて95歳で世を去った。18年の世界のエンタメ業界を駆け抜けた大きなニュースだ。

photo 「東京コミコン2017」に登場したスタン・リー

 95歳は人生の長さとしては十分な年齢だが、それでもスタン・リーの死に「もっと長生きしてほしかった」との声が相次ぐ。それは90代になっても引退することなく、積極的に創作活動や数々のプロジェクトを続けていたことが理由だ。アメリカのコミック界の顔として、自ら名付けたニックネーム「スマイリー・スタン」そのままに最前線にて業界を盛り上げ続けた。

スパイダーマンやX-メンの産みの親

 スタン・リーは、米国のマンガ出版社マーベル・コミックで活躍する「スパイダーマン」「アイアンマン」「ファンタスティック・フォー」「X-メン」「ハルク」「マイティ・ソー」といった数々のスーパーヒーローたちの産みの親として知られる。

 ただこれらの原作の権利はマーベル・コミックが保有している。またキャラクターや作品のビジュアルは、例えば「スパイダーマン」であればスティーヴ・ディッコ、「ファンタスティック・フォー」であればジャック・カービーといったアーティストが産みの親だ。

 スタン・リーの役割はアイデアやストーリーを生み出し、アーティストと共に創り上げていくことだった。作品の編集人といった肩書が最もふさわしい。同時にこのアメコミ創作の仕組みそのものを作り上げた。アメリカンコミックスの「伝説」「変革者」と呼ばれる理由である。

スタン・リーの晩年を彩った日本アニメとマンガの存在

 コミックの世界に大きな影響を与えたスタン・リーの晩年の活動において日本とのコラボレーションの存在が大きかったことは、米国のファンだけでなく、日本でもあまり知られていない。スタン・リーはエンタメの新しい可能性を日本コンテンツに求めていたのだ。

 まずはテレビアニメシリーズ。10年に2クール(半年)全26話でテレビ東京系にて放送された「HEROMAN」がある。アニメ「鋼の錬金術師」や「交響詩篇エウレカセブン」などのヒット作でおなじみの、日本を代表するアニメスタジオのボンズなどとの共同制作である。アニメーション制作には日本の精鋭スタッフが集まった。

photo スタン・リーが手掛けたアニメ「THE REFLECTION」(同アニメのWebサイトから引用)

 17年にはNHK総合で全12話の「THE REFLECTION ‐ザ・リフレクション‐」が放送された。「蟲師」や「惡の華」の斬新な演出で注目された長濱博史氏を監督に迎え、スタジオディーンがアニメーション制作を担当している。

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