1月31日、カナダの大手仮想通貨取引所QuadrigaCXから1億5000万ドル相当の仮想通貨が引き出せない状態にあることが分かった。同取引所のジェラルド・コットンCEO(最高経営責任者)が死亡し、コールドウォレット(オフライン管理のウォレット)にアクセスできなくなってしまったからだ。CCNが報じた。
コットンCEOはセキュリティの観点からコールドウォレットへのアクセスキーなどを全て1人で管理していたといい、彼が亡くなってしまった今、その他の重要なパスワードなども含め全て分からない状態だという。
この事実が明るみに出て以降、QuadrigaCXのコールドウォレットのアドレスが稼働しているようだと主張するレポートがいくつか発表されていたが、取引高などの詳細を確認した結果、ホットウォレット(オンライン管理のウォレット)であることが判明するなど、さまざまな情報が錯そうしている。
混迷を極める中、宙に浮いた状態となってしまった1億5000万ドル相当の仮想通貨が今後どうなるかはまだ分かっていない。同取引所はコールドウォレットへのアクセスなどを試みているようだが、まだ成功していないという。今後進展があれば追って発表するとしている。
QuadrigaCXの前CEOであるゲリー・コットン氏は同取引所のユーザーの資金を守るため「マルチシグネチャ」を採用したと、コンピュータ科学に精通している米コーネル大学のエミン・ガン・サーラ―教授は過去の取材で明かしていた。
マルチシグネチャとは1つのアドレスに複数の秘密鍵を個人や法人に割り当て、管理するシステムを指し、一般的にはセキュリティレベルが非常に高くなると言われている。
だが今回、ジェラルド・コットンCEOが資産管理のほぼ全権を握っていたことが明るみに出たことで、同取引所が全てのコールドウォレットに対しマルチシグネチャを取り入れてはいなかったことが判明した。
米仮想通貨取引所Krakenのジェシー・パウエルCEOはコットンCEOの死と鍵の損失について「奇怪で信じがたい」とコメントし、Krakenでも同件については調査中であるという。
「我々もQuadrigaCXに何千ものウォレットを保有している。もし王立カナダ国家憲兵がこのメッセージを見ていたら私に連絡してください」と、パウエルCEOは早期の解決に向け協力したいと呼び掛けている。
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