スターバックス元CEOの嫌われっぷりを加速させる「大迷惑」な挑戦世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)

» 2019年02月07日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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 そんなことから、リベラルや民主党員などから、シュルツに対して「出馬はするな」という声がどんどん膨れ上がっている。彼の地元シアトルはもともとリベラルな土地として知られ、16年の大統領選では有権者のうち92%が反トランプの投票をしている。それだけに、1月末に彼がシアトルでイベントに参加した際には、反シュルツのデモが発生。その様子を報じた米ニューヨーク・タイムズ紙は、ある参加者のこんな声を紹介している。元教師だというこのデモ参加者は、「彼はまさにトランプのような男だ。聞き分けのない、自己陶酔した億万長者はもううんざりだ」と語ったという。

 ちなみにトランプはそれをすでに見越して、あえてTwitterでシュルツを「利口でない」とあおって、出馬をけしかけようとしている。そうすれば自分に有利に働くことをよく分かっているからだ。

 シュルツは大統領選への興味について、「私は米国人が勝利するのを見たいのだ。米国が勝つのを見たい。民主党支持者だろうが、無所属支持者だろうが、リバタリアン(自由主義者)だろうが、共和党員だろうが関係ない」と語っている。そして今後数カ月で正式に出馬するかどうかを最終決定するという。

 メディアによれば、スターバックスはトランプの関与するビルに出店するテナント料などで、年20万ドルほどを支払っているという。そしてトランプは、この騒動にこうツイートしている。「私が望むのは、スターバックスがトランプ・タワーでの賃料を引き続き支払うことだけだ!」

 大統領選まで2年。誰がトランプと戦うことになるのか。選挙はもう始まっている。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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