スターバックス元CEOの嫌われっぷりを加速させる「大迷惑」な挑戦世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2019年02月07日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

シュルツがシアトルで“憎まれている”理由

 そもそもシュルツはなぜ嫌われているのだろうか。

 まず最も知名度がある地元シアトルでは、バスケットボールファンをはじめとして数多くの住民がシュルツを「憎んで」いる。

 1967年から地元のバスケットボールチームだった「シアトル・スーパーソニックス」を実質的に所有していたシュルツが、いろいろな言い訳をしながら、2008年にチームをオクラホマシティに移転。地元ファンから激しい反発を受けることになった。現在はその名前を「オクラホマシティ・サンダー」に変えてしまっている。この売却は、地元では事あるごとに取り沙汰され、シュルツを憎んでいる人々は少なくない。

photo 地元のバスケットボールチームを巡って、シュルツを憎む人は少なくない(写真は記事と関係ありません)

 またシアトルは、米国で初めて最低賃金を15ドルに引き上げた街として知られているが、当時シュルツは、この賃上げは雇用を鈍化させると主張し、反対を表明していた。しかし、ふたを開けてみると、賃上げは雇用に影響を与えていない。

 さらにシュルツは、ときに感情的にこんな発言をしてしまう。米テレビ局のMSNBCの取材に対し、「私は億万長者だから批判されている。この話をしようじゃないか。ニューヨーク・ブルックリンの公営住宅で育ったのに、一代で成り上がった。これをアメリカン・ドリームと言うのだと思う。アメリカの夢でしょう」と語っている。トランプが遺産を父親から受け継いで金持ちになったのとは違う、と言いたかったようだが、こうしたコメントが少し傲慢(ごうまん)に聞こえるのは、筆者だけではあるまい。

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