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NGT48事件に見る、組織の危機管理上やってはいけないこと火に油を注ぐ(4/4 ページ)

» 2019年02月14日 05時30分 公開
[篠崎良一ITmedia]
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新潟で会見すべきだった

 このほか、被害者への補償、組織としての処分、再発防止策の3点が事態の終息に必要な条件になる。特に留意が必要なのが、再発防止策が実効性のある具体的な内容であるかどうかだ。

 地域密着アイドル特有のリスクとして、コミュニティーが小さく、ファンとアイドルとの距離が近く、つながりやすい点がある。SNSが時間と距離を超えたコミュニケーションを可能にしている上に、物理的な高い近接性のリスクが存在しているのは事実である。

 最後に、運営会社の情報公開(記者会見)についても問題があったことに触れたい。それは会見が東京で実施された点である。新潟のアイドルグループであることを考えれば、会見は当然、アピールすべき人たちがいる新潟で行うべきであった。

 事件後に初めて運営会社が公の場に出てきた会見は1月14日に開かれた。この日はAKB48グループメンバーの成人式が神田明神で行われ、その場に集まった報道陣に対して急遽セッティングされたという印象だ。これでは会見ありきとは言い難い。

 危機管理は発生現地での対応、メディア対応が基本である。時間と距離が消滅したネット時代にあってもそれは変わることがない。

 今回の事件が起きてから、もう2カ月が過ぎた。関係者には一刻も早く真相解明に努めてもらうとともに、日本の多くの企業や組織においてはこれを他山の石として、危機管理の重要性を再認識してもらいたい。

著者プロフィール

篠崎良一(しのざき りょういち)

共同ピーアール株式会社 広報の学校 学校長(広報コンサルタント、危機管理広報コンサルタント、メディアトレーナー)

早稲田大学卒。出版社を経て、共同ピーアール株式会社入社。取締役副社長を経て現職。2003年5月『広報の学校』を開校。13年1月『PR総研』を設立。企業・団体の広報・危機管理コンサルティング、広報・危機管理研修担当。


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