お店のミライ

一蘭の「100%とんこつ不使用ラーメン」を食べてみた 1180円は高いか安いか開発に20年費やした(1/3 ページ)

» 2019年02月21日 17時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 とんこつラーメン専門店の一蘭は2月28日に「100%とんこつ不使用ラーメン一蘭 西新宿店〜発祥の店〜」(東京都新宿区)をオープンする。一蘭は創業以来、とんこつラーメンで成長してきたが、新店では豚・アルコールを一切使用していない100%とんこつ不使用ラーメンを提供する。

 既存のとんこつラーメンの味に並ぶか、それ以上の味になるまでは提供しないと決意し、研究に研究を重ねて開発した自信作とのことだが、味はどうなのだろうか。そして、開発の狙いは何だろうか。新店オープン前の記者発表会で実際に食べてきたので、レポートする。

photo 「100%とんこつ不使用」を強調した看板

新ラーメンの概要

 100%とんこつ不使用ラーメンを開発したきっかけは、「豚アレルギーだけど、とんこつラーメンが食べてみたい」という声が一蘭に寄せられたことだ。同社で商品開発を手掛ける職人は40人以上おり、商品力を向上させるため、どのような種類の麺やスープでもつくることができる知識と技術を持っているという。

 お客の声に応えるために、同社は豚を使わないラーメンの開発を20年前に着手した。プロジェクトの担当者によると、5年前から本格的に専門店の出店も含めた可能性を検討しはじめたという。

 インバウンド需要の高まりとともに、一蘭には全国で年間500万人以上の外国人観光客が押し寄せるようになった。また、国や宗派によって程度の差はあるが、豚やアルコールの摂取が禁じられているイスラム教徒の観光客にも受け入れられるようなラーメンも求められていた。そこで、外国人観光客に人気のエリアである新宿に新店をオープンすることにした。ただ、ハラール認証は取得しておらず、あくまで「ノンポーク・ノンアルコール」を前面に打ち出す方針だ。これは、100%とんこつ不使用ラーメンのスープや麺を、とんこつラーメンと同じ工場内で製造しているためである。

店舗に行ってみた

 新店はオフィス街近くにある。周辺には牛丼チェーン店やラーメン店などがひしめき合う激戦区だ。新店には「100%とんこつ不使用ラーメン専門店」「No Pork Ramen」と書かれた看板が掲げられている。看板やのれんなど、全体的なカラーの基調が緑となっているのには理由がある。それは、とんこつラーメンを提供する赤を基調とした既存店との違いを打ち出すためだ。

 店内のつくりやサービスは既存店と大差ない。調理場のオペレーションもほぼ一緒だという。ただ、お客が自分で記入するオーダー用紙や椅子の座面が緑色になっている。広報担当者によると、スタッフが着用しているTシャツも緑が基調になっているという。あくまで、新店のテーマカラーは緑なのだ。

 一蘭の特徴である「味集中カウンター」に座ってみた。半個室を演出するすだれ、店員の呼び出しボタン、コップに水をくむ冷水サーバー、隣席との仕切り壁がある。ここも既存店と同じ仕様だ。

 着席してからオーダー用紙を店員に渡した。通常店舗のとんこつラーメンと比較するため、「味の濃さ」や「こってり度」などは推奨されている「基本」に丸をつけた。

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