Amazonベゾス不倫騒動と、サウジ記者殺害をつなげる「デジタル監視」の実態世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2019年04月04日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

「サウジ人記者殺害」とのつながり

 この問題は単に、世界で最も裕福なビジネスパーソンが巻き込まれたスキャンダルにとどまらない。なぜなら、ベゾスは世界でも尊敬される大手紙の一つである米ワシントン・ポスト紙のオーナーでもあるからだ。

 ここで出てくるのが、サウジアラビア政権に批判的だったサウジ人記者ジャマル・カショギがトルコのサウジ大使館で殺害されたとされる事件だ。カショギは、サウジアラビア政府が人権を踏みにじっているなどという批判的な記事をワシントン・ポスト紙に寄稿していた記者だった。

photo サウジアラビア政府に批判的な記事を書いていた記者が殺害された(写真は記事と関係ありません)

 それを気に入らなかったのが、サウジアラビアという絶対王政の国で国王の全権を委任された権力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子だ。ムハンマド皇太子が、カショギ殺害を指示したのではないかと当時、批判されていた。事実、ムハンマド皇太子は、ワシントン・ポスト紙を「敵と見なしていた」と言われている。サウジ政府側としては、ベゾスのスキャンダルをタブロイド紙にリークして、評判を失墜させようとしたのではないかと、ベッカーは結論付けている。

 しかも、ベッカーは、ムハンマド皇太子とAMIの理事がかなり親密な関係であることも暴露。2人が、ドナルド・トランプ大統領に近い人たちも一緒に、しょっちゅう接触していると指摘している。その関係性から、サウジがタブロイド紙に、ベゾスをおとしめる記事を書かせたのではないかというのだ。

 ただここで気になるのは、サウジがいかにして、「ベゾスの携帯電話にアクセスし、プライベートな情報を獲得したのか」だ。どうすれば、そんなことが可能なのか。

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