コラム
» 2019年05月16日 08時20分 公開

役割分担、ついにここまで:「管理職やリーダーの仕事すらアウトソースする時代」がやってきた (1/2)

「出世や給与をタテに、脅かして仕事をさせる」という古いやりかたが通用しなくなった今、優秀な人をつなぎ止めるためには、ここまでやる覚悟が必要なのかもしれない。

[安達裕哉,Books and Apps]

この記事はティネクトのオウンドメディア「Books and Apps」より転載、編集しています。


 管理職やリーダーの業務と考えられていた仕事すら、アウトソースすることが普通になる――。そんな時代がついに来たのかもしれない。

 知人が経営するエールという会社は、ちょっと変わった事業をしている。

 ターゲットは大手企業。その社員たちひとり一人に、「社外の相談相手(≒メンター)」を提供しているのだ。サービスのウリは、「社内では話せない本音を引き出し、働きがいと成果を創る」ことだという。

 メンターへの相談内容は、仕事上の問題解決や目標達成のためのPDCAを回すサポートといった実務的なものから、悩み事を聞いてほしい、外部からの客観的なフィードバックがほしい、といったものまで多岐にわたる。こうした社員の悩みに応じてメンターは傾聴し、適切なアドバイスを行う。

 私は知人からこのサービスの話を聞いた時、「ついに、リーダーの業務をアウトソースする時代が来たのか」と感じたことを覚えている。

 しかし、これは考えてみれば合理的だ。なぜなら、組織の中では比較的高い能力を持っているリーダーといえど、その能力は万能ではないからだ。

リーダーが「数字もチームも作る」のは難しい時代に

 PM理論と呼ばれるリーダーシップ論で世界的に知られる、大阪大学の名誉教授、三隅二不二(みすみ じゅうじ)氏は、「理想的なリーダーは『目標達成』と『集団維持』の両方を満たす」と述べた。

 つまり、三隅氏の定義によれば、「数字を作る」「チームを作る」という2つを同時に行うのがリーダーだ。

 だが、現実は厳しい。

 数字を作ることに集中しすぎて、チームを崩壊させてしまうリーダーは数多くいるが、この両者をうまくやってのけるリーダーは相当少ない。個人的な体感値では「10人に1人、いるかどうか」というところではないだろうか。

Photo KPIにとらわれすぎるとチームが崩壊してしまうことも……

 であれば、数字を作ることが得意なリーダーは数字に集中してもらい、メンバーの声に耳を傾ける役割は、専門家にある程度委ねるのも、悪い考えではない。それぞれが得意なことをやるほうが、チーム全体としてはうまくいくのだ。

 実際のところ、優秀な人をうまく使うためには、社内外を問わず「メンターのような役割を持つ人」が絶対に必要だ。なぜなら、現場で働く人々のニーズを細大漏らさず把握し、彼らの求める仕事のやり方を認めることが、仕事の生産性を大きく向上させるからだ。

 逆に、旧来の管理職がやっていたように「出世や給与をタテに、脅かして仕事をさせる」というやりかたは、現代の知識労働者の主役たちや、優秀な人々にはもはや通用しない。

 優秀な人々はそういった「操作」を軽蔑するし、長期的に見ると会社へのロイヤリティーが失われることも間違いない。

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