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イオンのうなぎ商戦に変化 代替品の存在感がどんどん増している売り上げが数年で倍増(2/3 ページ)

» 2019年06月03日 16時08分 公開
[昆清徳ITmedia]

国産うなぎの蒲焼が1980円から2280円へ

 イオンが代替品の開発に力を入れる背景には、国産うなぎの蒲焼の価格が高騰していることもある。土用の丑の日セールの“最上位”商品は「トップバリュ グリーンアイ ナチュラル国産うなぎ蒲焼」(1尾で2280円)だが、松本部長によると18年に発売された同様の国産うなぎの蒲焼は1980円だったという。低価格帯となるインドネシア産のうなぎ蒲焼は1パックで798円だ。シラスウナギの不漁は長期的なトレンドだと指摘されているので、今後、これらの価格が大幅に下がる可能性は低い。

 一方、イオンにとっては土用の丑の日は大きな売り上げが見込める大事なイベントなので、何とか商機につなげたい。価格の高い商品ばかりをそろえると客離れが起きかねないので、代替品の開発を急いでいるとみられる。

保護する姿勢をアピールするのも重要

 イオンは、ニホンウナギの提供量を減らし、代替蒲焼やインドネシアウナギの比重を高める方針を打ち出している。

 インドネシア産のビカーラ種ウナギの蒲焼を販売する一方で、漁業者、流通業者、NGOなどを巻き込んだ「インドネシアウナギ保全プロジェクト」を推進している。代替蒲焼については前述の通りだ。一方、7月13日からはシラスウナギを採捕した人までさかのぼって追跡できる「静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼」を発売するが、こうした“ウナギにやさしい”商品の流通量は地道に増やしていく方針なので、急激に増えることはない。

 “純粋”なうなぎの蒲焼を無尽蔵に販売できる時代は終わりつつあるようだ。

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